Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、Rad54Bが複数の分子と連携しながらネットワークを形成し、細胞機能間の相互調整を行っているという仮説をもとに、がん治療抵抗性という現象を捉えなおし、新たな視点からがん治療戦略を探ることを目指した。まず我々は、Rad54Bと相互作用する分子を複数見出した。その中でも、Rad54BはMDM2、MDMXとの相互作用を介してp53の発現量と機能を抑制しており、Rad54BはMDM2-MDMXヘテロ二量体形成の足場として働いていた。一方で、Rad54Bの発現量は、損傷応答前期に誘導され、後期にp53依存性に発現量が抑制されていた。従ってRad54Bとp53は、DNA損傷応答における新たな経路を形成していた。この新たな経路は、DNA損傷G1/SおよびG2/Mチェックポイントを抑制し、DNA損傷後の細胞周期の進行を促進した。特に、Rad54BによるG2/Mチェックポイントの無効化は、染色体の断片化を誘導した。Rad54Bは細胞周期の進行を介してDNA損傷後の細胞の長期生存を促進し、ゼノグラフトモデルにおいてDNA損傷薬剤の治療効果を低下させた。データベース解析では、種々の固形腫瘍や大腸良性腫瘍においてRad54Bの有意な発現上昇が見られた。また、脳腫瘍におけるRad54Bの発現増加は生存率の低下と強く関係していた。従って、Rad54Bの発現亢進によるDNA損傷下での細胞周期進行の促進は、がん治療抵抗性を導くメカニズムの一つであり、Rad54Bは新たながん治療の標的となりうることが示唆された。この他にも我々は、Rad54BとLNX1の相互作用が、がんの進展に重要なNotch経路を制御することを明らかにした。従って、本研究によって、Rad54Bを介する細胞機能ネットワークによるがん治療抵抗性誘導機構が解明され、新たながん治療戦略の可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
Volume: 5 Issue: 1 Pages: 5426-5426
10.1038/ncomms6426
http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20141112.pdf
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/research-news/discovery-of-a-basic-mechanism-of-cancer-development/index.html
http://www.u-tokyo.ac.jp/en/utokyo-research/research-news/discovery-of-a-basic-mechanism-of-cancer-development/index.html