Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
以前の研究から, 神経細胞のモデルであるSH-SY5Y細胞やラット胎仔脳由来初代神経細胞において24S-hydroxycholesterol (24S-OHC)がNecroptosisを誘導し, ヒト白血病Tリンパ腫であるJurkat細胞においてはアポトーシスを誘導することが明らかになっている. これはアポトーシスとNecroptosisとのスイッチングにおいて重要なCaspase-8の発現量が, SH-SY5Y細胞や初代神経細胞において著しく低いためであると考えられた. Caspse-8の活性と24S-OHC誘導性細胞死の細胞死形態との関連を検討するため, 全Caspase阻害剤であるZVADやCaspase-8を機能欠損させたJurkat細胞であるI9.2細胞を用いて解析を行った. その結果, SH-SY5Y細胞と同様にNecroptosisが誘導されることが明らかとなり, 24S-OHC誘導性細胞死の細胞死形態の決定にはCaspase-8が重要であることが明らかとなった. また, SH-SY5Y細胞およびJurkat細胞において, 24S-OHCのエステル化およびそのエステル体の蓄積が細胞死に重要であることがACAT阻害剤を用いた研究から明らかになっている. そこで, エステル体形成に重要な脂肪酸について, さらなる解明を試みた. HPLCを用いて24S-OHC処理細胞特異的なピークを分取しGC-MSを用いて解析を行ったところ, 複数種類の24S-OHCのエステル体が存在することが示唆された. そこで, 24S-OHCとさまざまな脂肪酸を同時に添加し, 細胞死に対する影響を検討した. その結果, 不飽和脂肪酸が細胞死を増強する傾向にあることが示唆された. さらにPhospholipase A2の阻害剤によっても24S-OHC誘導性細胞死が増強されることが示唆された. ACAT1によるエステル化が誘導する細胞死は24S-OHCに特異的であるか確認するため, 種々のコレステロール酸化物に関して, 24S-OHCと同様の解析を行った. その結果, Necroptosisの誘導やLipid droplet様の構造物の形成, ACAT1阻害剤による細胞死の抑制, エステル体の蓄積は, 他のコレステロール酸化物では認められず, 24S-OHCに特異的であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
阻害剤や機能欠損の細胞株を用いた実験から, 24S-OHC誘導性細胞死の経路の中にアポトーシスとNecroptosisの分岐が含まれており, さらにそのスイッチングにはCaspase-8が重要であることが明らかとなった. また, 複数種類の細胞で検討した結果, 細胞死の初期段階で認められる24S-OHCのエステル体の蓄積は共通の現象であり, 24S-OHC誘導性細胞死に深く関与していることが明らかとなった. さらに脂肪酸の組成も細胞死に影響することが示された. これらの結果から, 本年度の研究はおおむね順調に進展したと判断した.
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