Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
鉄系超伝導体の発現機構・対称性として、スピン揺らぎによりs±波超伝導が発現するとするものと軌道揺らぎによりs++波が発現するとする2つの理論が提案されている。これらを見分けるためには、超伝導ギャップ構造の理論的解明が重要である。そこで我々はLiFeAsにおいて3次元的な超伝導ギャップ構造の計算を行った。このため、まずスピン軌道相互作用(SOI)を考慮し、最近のARPES実験により観測されたバンド構造を再現するような3次元強束縛モデルを2種類作成した。そして、相互作用としてクーロン斥力と四重極相互作用の2種類を考え、RPAを用いてにより超伝導ギャップ方程式を解いた。ただし、四重極揺らぎはクーロン斥力のバーテックス補正に由来する。四重極相互作用が大きく、四重極揺らぎによりs++波超伝導ギャップが現れる場合には、非常に小さなホール面のギャップが最も大きくなった。これは、ARPESにより観測されたものをよく再現する。一方、クーロン斥力が大きく、スピン揺らぎがs±波超伝導が現れる場合には、小さなホール面のギャップは、非常に小さくなり、ARPESの実験結果を再現しない。さらに、四重極揺らぎもクーロン斥力が両方が大きくなる場合には、ホール面内でギャップの符号が反転するような「ホールs±波」超伝導ギャップが現れた。LiFeAsの超伝導ギャップは再現しないが、「ホールs±波」は、BaFe2(As,P)2に対する実験により議論されており、一部の鉄系物質で実現している可能性がある。以上の結果から、LiFeAsでは、四重極揺らぎにより、s++波超伝導が発言していると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Phys. Rev. B
Volume: 90 Issue: 3 Pages: 035104-035104
10.1103/physrevb.90.035104
Physical Review B
Volume: 88 Issue: 4 Pages: 45115-45115
10.1103/physrevb.88.045115