小胞体ストレス応答系の選択的誘導による炎症性疾患の新規治療戦略の開発
Project/Area Number |
12J04131
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Experimental pathology
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中嶋 正太郎 山梨大学, 医学工学総合教育部, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 小胞体ストレス応答(UPR) / ATF6 / C/EBPβ / Akt |
Research Abstract |
我々はこれまでに、小胞体ストレス応答がC/EBPβの発現とAktの脱リン酸化を誘導することでNF-kBの活性化を抑制しうることを見出している。そこで、ラット尿細管上皮細胞(NRK-52E細胞)を用い、小胞体ストレス応答の主要3経路(PERK経路、ATF6経路、IRE1経路)のうち、どの経路がC/EBPβの発現やAktの脱リン酸化の誘導に重要であるか検討を行った。また小胞体ストレス誘導剤としてサブチラーゼ・サイトトキシン(SubAB)を使用した。 NRK-52E細胞をSubABで刺激した場合、C/EBPβの遺伝子発現が選択的に誘導された。このSubABによるC/EBPβの誘導に、小胞体ストレス応答のどの経路が関与するのかを明らかにするため、NRK-52E細胞にPERK、ATF6、IRE1のdominant-negative mutantを個別に遺伝子導入し、SubABで刺激を行った。その結果、ATF6を阻害した場合にのみ、SubABによるC/EBPの誘導が抑制された。また、ATF6の阻害剤であるAEBSFでNRK-52E細胞を処理し、SubABで刺激した際にも転写因子としてのCEBP活性誘導の抑制が認められた。 次に、NRK-52E細胞をSubABで刺激した場合、3時間後に一過的なAktのリン酸化レベルの上昇が観察されたが、その後そのレベルは徐々に減衰し、9時間以降にはベースのレベルよりも低値を示した。我々は、SubABによるAktの一過的なリン酸化レベルの上昇が、小胞体ストレス応答のATF6経路を介することを明らかにしている。したがって、後期段階で起こるAktのリン酸化レベルの低下も、ATF6経路が関与しているのではないかと考えた。そこで、NRK-52E細胞をATF6経路の阻害剤であるAEBSFで前処理し、SubABにより刺激を行ったところAktのリン酸化レベルの減少が著しく抑制された。また、SubABによるAktの脱リン酸化にはmTORC1の一過的なリン酸化の誘導が関与していた。 さらにATF6のsiRNAを恒常的に発現する安定細胞株(iATF6α MEFs)を用いた実験においても上記結果と同様な現象が観察された。これらの結果は、小胞体ストレスによるC/EBPβの発現とAktの脱リン酸化の誘導には、ATF6経路が重要な役割を果たしていることを示唆するものである。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)