19世紀前半イギリスにおける技術教育政策と産業問題
Project/Area Number |
12J10318
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Economic history
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松坂 雅子 東京大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2012 – 2013
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2013: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2012: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
|
Keywords | デザイン学校 / 技術教育史 / イギリス / 近代 / 美学史 / 近代史 / 経済史 / 絹 / arts of design |
Research Abstract |
本研究の目的は、19世紀前半にイギリス政府がなぜ技術教育政策を開始したかを明らかにすることである。具体的には、1837年に、イングランドにおける初めての政府立技術教育機関であるデザイン学校が設立された背景を検討する。 二年にわたった本研究の最終年度にあたる本年度は、初頭にまず、イギリスで史料調査を行った。昨年度より、ロンドンとコヴェントリにおいて、当地の19世紀前半における絹業、デザイン学校に関連する史料調査を行っており、本年度初頭の調査時は、これらの調査を引き続き行った。これに加えて、エセックスで絹業を営んでいたコートールド(Courtauld)に関連する史料の調査、LSE Libraryに所蔵されているWebb Collectionに含まれる繊維産業関連の史料調査を行った。 帰国後は、これらの史料の整理を行いながら、昨年度から引き続いて行っている研究の成果を論文「19世紀前半イギリスにおける技術教育政策―「デザインの技術」振興の発想をめぐって―」(政治経済学・経済史学会『歴史と経済』2014年、所収号未定)としてまとめた。 論文執筆の過程で、新たな研究視角を見出したため、本年度の後半は、当初計画していた研究内容を修正した。すなわち、これまでは、絹業を中心とした製造業自体がいかなる問題を孕んでいたかという視点から、デザイン学校の設立の背景を論じることに焦点を当てていたのであるが、デザイン学校は、美の判定能力を製造業従事者に身に付けさせるのが一義的な狙いであった点を重視するようになった。これにより、本年度の後半は、美学史・思想史上、美の判定能力の教育の捉え方がどのように変遷したことが、デザイン学校が設立される背景として働いたのかの研究に向かった。この研究成果については、来年度、研究報告会で発表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通り、研究成果を論文にまとめた点で、本年度の計画は順調に進展している。また、この論文執筆の過程で、計画時点においては予想していなかった、今後研究を進めていくための新たな視角の発見、視野の広がりが可能となった。この点で、研究は, 当初の計画以上の進展を見せているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、デザイン学校に端を発する技術教育政策が、当時のイギリスの製造業にいかなる問題点が発見されたからこそ開始されたのか. という点を明らかにすることに主眼を置いていた。しかし、今後は、これについて、より大きな視点、すなわち、当時、美がどのようなものとして捉えられ、また美の判定能力の教育の仕方がどうあるべきと考えられたからこそ、デザイン学校が設立されたのか、という点を明らかにしていくことが課題であると考えている。そこで、研究計画には変更が生じ、まず、美の判定能力の教育に関する考え方が、政治経済学思想史上、どのような変遷を辿ったのかを明らかにしつつ、そのなかで、デザイン学校を設立した人々の思想を歴史的文脈に位置付けていくという研究方策を取る。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)