逆遺伝学的手法を用いた収量・バイオマス生産向上に関わる遺伝子の網羅的探索
Project/Area Number |
12J10427
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Crop science/Weed science
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
安達 俊輔 独立行政法人農業生物資源研究所, イネゲノム育種研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 個葉光合成 / マップベースクローニング / QTL / 逆遺伝学 |
Research Abstract |
イネの一層の収量増加には個葉光合成速度の向上が重要とされているが、光合成速度の品種間差に関わる遺伝的要因はほとんど解明されていない。インド型多収性品種ハバタキの光合成能力が他の多くのイネ品種と比べて高いことに注目し、ハバタキとコシヒカリの交雑自殖系統を利用してハバタキ対立遺伝子がコシヒカリに対して葉の光合成速度を高める染色体領域をこれまで第4,5,8,11染色体上にそれぞれ見出している(Adachietal.,2011)。本研究ではそのうち第8および第11染色体上の領域に着目し、原因遺伝子の特定とともにその機能の解明を目的として研究を行った。育成系統の光合成速度の比較を通じて、ハバタキ対立遺伝子がコシヒカリに対して光合成速度を高める染色体領域を第8染色体短腕の11kbの領域まで絞り込んだ。RAPデータベース解析の結果、本領域には開花調節に関わるDTH8のみが推定されていた(Weietal. 2010)。アグロバクテリウム法による相補性試験により、本遺伝子が原因遺伝子であること確かめた。シークエンス解析の結果、ハバタキ型DTH8は126番目のアミノ酸変異によりSTOPコドンが生じており、機能欠損変異であるものと推察された。準同質遺伝子系統(NIL)を用いた解析から、本遺伝子は気孔開度を高めることによって気孔伝導度ひいては葉内CO_2濃度を高め、光合成速度を高めているものと推察された。また長日条件ではNILの光合成速度はコシヒカリに比較して高いものの、短日条件で生育させた植物では光合成速度に違いが無くなることから、本遺伝子の光合成速度の上昇効果は感光性遺伝子経路と密接に関わっていることが示唆された。同様にして第11染色体長腕に存在する候補領域を27.4kbまで絞り込んだ。本領域は主に葉の窒素含量を増加することによって光合成能力を高めているものと推察された。シークエンス解析の結果、本領域に存在が推定される8つの遺伝子すべてにハバタキで遺伝子変異が存在し、さらにハバタキ側に複数のトランスポゾンが挿入されていることが分かった。以上のように、本研究課題の遂行によりイネ個葉光合成速度を制御する遺伝的要因の一端が解明され、今後のイネ光合成速度の育種改良に向けて重要な基礎的知見を得ることができたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に対して着実に取り組んだことにより、期待通りの成果が得られた。特に、その実態解明がこれまで不十分であったイネ個葉光合成能力を制御する原因遺伝子の一つを特定し、さらにその遺伝子が作用する光合成機構の一端を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)
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[Journal Article] A natural variant of NAL1, selected in high-yield rice breeding programs, pleiotropically increases photosynthesis rate.2013
Author(s)
Takai T, Adachi S, Taguchi-Shiobara F, Sanoh-Arai Y, Iwasawa N, Yoshinaga S, Hirose S, Taniguchi Y, Yamanouchi U, Wu J, Matsumoto T, Sugimoto K, Kondo K, Ikka T, Ando T, Kono I, Ito S, Shomura A, Ookawa T, Hirasawa T, Yano M, Kondo M, Y amamoto T.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 3
Issue: 1
Pages: 2149-2149
DOI
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Peer Reviewed
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