化学反応場としての生体膜の特性:高速時間分解分光法による解明
Project/Area Number |
12J11163
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
野嶋 優妃 学習院大学, 理学部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2014)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2014: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 脂質二重膜 / 熱拡散定数 / trans-スチルベン / ピコ秒時間分解ラマン分光法 / リポソーム / 高速時間分解分光法 / 粘度 / エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体膜中では、光合成やATP合成などの数多くの生化学反応が進行する。化学反応の速度は粘度や極性などの周囲の化学的性質の影響を受ける。そのため生体膜中で進行する正化学反応をよりよく理解するためには、生体膜の主な構成要素である脂質二重膜内部の化学的環境を知る必要がある。本研究では生化学反応の進行に大きな影響を与える、脂質二重膜のエネルギー移動特性をピコ秒時間分解ラマン分光法を用いて評価した。 生体膜のモデルである、リポソーム脂質二重膜内部にtrans-スチルベンを封入した。最低励起一重項(S1)状態のtrans-スチルベン(S1-tSB)の時間分解ラマンスペクトルを測定することで、励起光によって加熱されたS1-tSBの脂質二重膜内部における冷却過程を観測した。S1-tSBの冷却速度定数と、溶媒の熱拡散定数の間には、アルカンやアルコールなどの溶媒中において相関があることが報告されている。その相関と測定によって得られた膜中におけるS1-tSBの冷却速度定数を用いて、脂質二重膜の熱拡散定数を見積もった。脂質二重膜の熱拡散定数を見積もった結果、液晶相の膜の方がゲル相の膜よりも熱拡散定数が大きく見積もられた。 脂質二重膜内部の熱拡散についてより詳しく考えるために、一次元の熱拡散方程式を用いて、S1-tSBの冷却速度定数を見積もった。その見積もりの結果、冷却速度定数の値は脂質二重膜の膜厚が大きいほど小さくなることがわかった。 生体膜のように、水中にある脂質二重膜の熱拡散定数は非常に重要で基本的な物理量である。しかし従来の方法では水中にある脂質二重膜の熱拡散定数を測定することはできなかった。ピコ秒時間分解ラマン分光法と、S1-tSBを用いることで、水中にある脂質二重膜の熱拡散定数を初めて実験的に求めることができた。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(3 results)
Research Products
(15 results)