西洋古代の「心の哲学」における基礎概念の成立と変容
Project/Area Number |
13018223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Humanities and Social Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中畑 正志 京都大学, 文学研究科, 助教授 (60192671)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 志向性 / 感情 / パトス / プラトン / アリストテレス / ブレンターノ / 心の哲学 / デ・アニマ / 対象 / オブジェクト / 新プラトン主義 / ストア派 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き、「心の哲学」におけるいくつかの基礎概念の成立と変容の過程を分析した。 (i)まず、現代の心の哲学における重要概念である<志向性>について、前年度の研究を発展させた。この概念の直接の源泉となった<志向的内在>の概念について、その導入者フランツ・ブレンターノ自身はアリストテレスの魂論にその主要な源泉を求めたが、その概念が要請される彼の理論的背景からも、またブレンターノのアリストテレス解釈自体にも、デカルト的な内在主義が強く影響していることを具体的に論証して、この概念の歴史的問題を明らかにした。同時に、アリストテレス自身の哲学には、デカルト的な内在主義とは別の志向性の理解が胚胎していることを展望した。 (ii)さらに、現代哲学のなかで近年再び議論の的となっている<感情>の概念について、感情に認知的、合理的要素を認める現代の議論の基本方向を俯瞰した上で、西洋古代思想、とりわけアリストテレス哲学においてそのような現代的捉え方が基本であったことを見届けた。さらに<感情>の概念が形成されるに到る思考動向をたどった。プラトン以前には、基本的に<感情>という概念は不在であったのに対して、プラトンの著作、とりわけ『国家』における魂の非理知的部分についての議論には、<感情>の概念の形成と「パトス」という言葉におけるその概念化の達成に深くかかわる重要な考察が展開されていることを確認した。そこでは、現実の生を悲喜劇が演じる生と重ねて見るという視点のもとで、悲喜劇の用いる語りの構造が使用している心理学をプラトンが批判的視点を伴いながらもそれとして読みとることを通じて、<感情>の概念の確立を準備するような概念的集約がおこなわれていることを論証し、感情という概念を再考する上での重要な手がかりを得た。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)