院政・鎌倉時代の寺院社会における宋版辞書類の流通とその影響に関する研究
Project/Area Number |
13021202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Humanities and Social Sciences
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 証壽 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (20176093)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 高山寺 / 宋版辞書類 / 大広益会玉篇 / 広韻 / 宋韻 / 類聚名義抄 / 古辞書 / 漢字字体規範 / 宗版 / 高山寺経蔵 / 蒙隷万象名義 |
Research Abstract |
応募した研究項目は「出版環境研究」であり、その範囲は出版を成り立たせる社会的状況である。特に留意したのは、写本から版本への移行過程に発生する問題である。大量の印刷物(宋版)が中国から流入した院政・鎌倉時代、その中でも特に寺院社会における宋版辞書類の受容を図書寮本『類聚名義抄』に即して論じた。この文献には、『広韻』『大広益会玉篇』の引用が「宋韻」「益」として見える。図書寮本『類聚名義抄』では、多数の典籍を引用するが、その採録には一定の序列がある。宋版辞書類(「宋韻」「益」)の採録の序列は低いが、これは写本による辞書・注釈書が序列上位であるためであり、実質的には相当利用されていたと認められる。 また「宋韻」の呼称が日本独自であることを確認したのは共同研究の大きな成果である。また、高山寺経蔵典籍に所引の古辞書逸文を現地調査により多数収集し、宋版辞書類が利用されている実態を明らかにするとともに、それらを容易に検索できるようにする出典索引と注記対象字句索引を作成した。 さらに、写本と版本とに存する字体規範差へ対応を規範性の高い漢字字書を例に実証するために、宋版の『大広益会玉篇』の言部・水部・糸部の三部首を取り上げて、その掲出漢字のすべてをデータベース化することができた。写本の漢字字書は、誤写が多く、また異体字も目立つため、文字同定に困難が多いが、図書寮本『類聚名義抄』は糸部、『篆隷万象名義』は言部・水部・糸部の三部首について、データベース化が一応終了した。写本と版本とに存する字体規範差を把握するための方法論を吟味することができた。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)