Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
原索動物の群体ホヤ、クラベリーナミニアータ(Clavelina miniata)は、伊豆半島の下田付近の岩盤に固着して生息しており、力学的な刺激によって緑色に発光する。クラベリーナは、透明な皮(被嚢)に包まれており、被嚢の中に発光に関わる細胞(ファゴサイト)が存在する。個虫を摘んだり、つついたりするような力学的な刺激によって細胞が破壊されると、535nmをピークとする光を放出する。単離した被嚢細胞を、高感度カメラを接続した顕微鏡下に設置し、微小針で1細胞づつ機械的に破壊することによって、1細胞の発光を確かめることができる。その結果、発光には2価陽イオン(カルシウムイオン、マグネシウムイオン、またはストロンチウムイオン)が必要なことが明らかになった。すなわち、カルシウムイオンとマグネシウムイオンは10mM、ストロンチウムイオンは50mMで発光が最大になった。さらに発光至適pH=7.7であることも明らかになった。ファゴサイトの細胞膜が破壊されて、海水が細胞質に流入し、カルシウムイオンとマグネシウムイオンが発光を起こさせると考えられる。ホモゲナイズしたファゴサイトの発光活性は、遠心沈殿画分に回収された。したがって、発光物質は細胞骨格または膜成分に結合していると予想された。実際、沈澱画分には、青色励起光で緑色蛍光を発生する顆粒が観察された。本画分をゲル電気泳動したところ、蛍光を持ったタンパク質が分離できた。これが発光に関与しているか否かを明らかにするために、現在さらに精製を進めている。
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