Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
マメ科のイソフラボノイドはヒトの機能食品栄養として注目されるとともに,マメ科植物の環境への適応に深く関わっている.その生合成反応機構を,クローニングされた遺伝子の異種細胞発現系により明らかにし,生態生理におけるイソフラボノイドの機能をより深く理解することを目的として研究を行い,次の成果を得た. 一般フラボノイドからイソフラボノイド骨格を形成するシトクロムP450酵素(IFS)への変異導入に基づく,アリール基転位反応機構の解明を進め,反応の鍵アミノ酸残基を同定するとともに,生成物がイソフラボノイドからジヒドロフラボノールやフラボンに完全に変化した変異酵素を作出した.このことより,酵素活性部位中での,基質とヘムとの微妙な位置関係が,反応に決定的な影響を与えることが推論された. ファイトアレキシンの前駆体formononetin生合成に関わるメチル基転移酵素のcDNAのクローニングに成功した.この酵素はエンドウマメのファイトアレキシン生合成の最終段階を触媒する酵素タンパク質と同一であることが判明した.イソフラボノイド合成系の複数段階が同一の酵素によって担われていることは新知見であり,生合成の経済性の観点からきわめて興味深い.またこの結果は,従来米国のグループによって主張されていた,類似酵素が細胞内の複合体において基質・位置特異性を変化させてformononetin生産に関わるという説を明確に否定するものである. 酵素タンパク質複合系を介した生合成反応中間体のチャネリングは,複雑に分岐した生合成系から,特定の経路を選択的に作動させる機構である.上記formononetin合成における複合体の関与が不必要であることの解明,一連の生合成系での酵素の再利用という現象の発見より,チャネリングの別機構の可能性を模索する必要が生じた.この検討に向けて,cDNAクローンより各種酵素タンパク質(CHS, PKR, CHIなど)を完全精製した.今後は生合成系の細胞外再構築を目指す予定である.
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