Project/Area Number |
13027238
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 真理子 三重大学, 医学部, 講師 (10171141)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 内分泌撹乱化学物質 / 生殖毒性 / 発がん / ホルモン作用 / 遺伝子損傷 / エストロゲン / トリニトロトルエン / ダイゼイン |
Research Abstract |
近年、多くの環境化学物質が内分泌撹乱作用を有することが明らかとなり、重要な社会問題となっている。これらの物質はヒトに精子減少のような生殖毒性などの多彩な影響をもたらすことが懸念されている。ある種の内分泌撹乱物質はエストロゲン受容体を介したホルモン作用に加え、遺伝子損傷を介して生殖毒性および発がんをもたらすことが推定される。事実、エストロゲンは発がん性を有し、乳がんや子宮がんを起こすことが知られている。本研究では、エストロゲンによる毒性機構を解明し、他の環境化学物質研究にも応用し、以下の知見を得ている。 (1)エストロゲンの乳がん誘発機構:我々はエストラジオール(E_2)そのものには遺伝子損傷性はないが、その代謝物であるカテコールエストロゲンが極めて低濃度で遺伝子を損傷しうることを見い出した。すなわち、エストロゲンの発がんにおいては、E_2代謝物がイニシエーションに関与し、E_2自身による乳腺細胞増殖作用(エストロゲン活性)がプロモーションに関与すると考えられる(Int.J.Cancer,92,333-337,2001)。(2)植物エストロゲンによる発がん機構:大豆に含まれるバイオフラボノイドであるダイゼインは細胞増殖活性を有し、ダイゼイン・エストロゲンレセプター複合体と遺伝子上のエストロゲン反応領域との相互作用も認められた。しかし、DNA損傷性は認められなかった。これに対して、その代謝物の1つと考えられる7,3',4'-trihydroxyiosoflavoneは細胞増殖活性は弱いものの、DNA損傷性が認められた。したがって、エストロゲンと同様の機構で発がん性を示す可能性が示唆された。(3)トリニトロトルエン(TNT)の生殖毒性発現機構:TNTを投与したラットでは精子数減少が認められたが、血漿テストステロンの有意な変動がなかったのに対し、精巣および精巣上体から抽出したDNAの8-oxodGの生成量の上昇を認めた。単離DNAを用いた実験でTNTの代謝物がDNAを損傷することを見い出しており、TNTは生体内で生成された代謝物による遺伝子損傷を介して生殖毒性および発がん性をもたらすことが示唆された(Free Radic.Res.,in press)。
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