Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
現在、日本では使用が禁止されているが難分解性のため、今なお環境中に残留している有機塩素系殺虫剤であるDDTの低用量域における肝発がん性について幼若ラットを用いて検討した。1)21日齢オスF344ラットにDDTを0.5,1.0,2.0,5.0,20,100,500ppmの各用量で16週間混餌投与し、肝臓における前がん病変の指標である胎盤型glutathione S-transferase(GST-P)陽性細胞巣の検索を行った。また、DDTにより誘導される薬物代謝酵素CYP2B1,CYP3A2の各発現量の測定を実施した。2)1)と同様の系を用いDDTをさらに低用量の0.005,0.01,0.1,0.2,0.5ppmの各用量で混餌投与し、肝におけるGST-P陽性細胞巣、8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)およびCYP2B1,CYP3A2の検索を行った。その結果、GST-P陽性細胞巣の単位面積当たりの個数は0.5ppm以上では用量相関的に増加したが、0.01ppm以下では対照群に比較し抑制傾向を示した。また、8-OHdGの形成レベルはDDTの低用量域では減少し、GST-P陽性細胞巣と同じ傾向を示した。一方、CYP2B1の発現量は用量相関的に増加を示したが、CYP3A2は0.2ppm未満で対照群に比較し低下する傾向を示した。以上、DDTの低用量域においてGST-P陽性細胞巣の発生はU字型曲線を示し、その肝発がん性に閾値の存在がすることが強く示唆された。
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