Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
「赤・遠赤色光可逆的反応」は,植物の発生や生長・分化などの様々な過程に広く関係して、環境の光情報を植物に伝える重要な役割を果たしており,植物が生きて行くために欠くことのできない調節作用の一つである。この環境の光を吸収する光受容色素はフィトクロムと呼ばれる色素蛋白質で、特定波長の光(660nmおよび730nm)で可逆的に相互変換する二つの異性体(P_r型およびP_<fr>型)で存在する。フィトクロムの発色団部分(テトラピロール化合物の一種であるフィトクロモビリン)は、天然から極微量しか得られず,また,精製も極めて困難である。そこで本研究では、発色団の構造変換による機能の変化や,アポ蛋白質と発色団との相対的配置や相互作用などの解明,更に光合成系遺伝子発現.調節機構の解明など,この分野を飛躍的に発展させるために,フィトクロモビリン(PΦB)及びその誘導体の新合成戦略の確立を目指して検討したところ,本年度は下記のような成果を挙げることができた。 1.これまでに開発した反応を駆使して,アポ蛋白質と再構成可能な側鎖カルボン酸が遊離の天然型PΦB及び代替物として用いられるフィコシアノビリン(PCB)の全合成を世界に先駆けて達成した。 2.PΦBの構成要素の一つであるD環ピロリノンの簡便合成法を開発し,更にこの反応を応用して,18位に光ラベル化部位を導入したPΦB誘導体(構造・機能探索分子)の合成にも成功した。 3.多様なPCB誘導体の合成とアポ蛋白質との再構成実験により,アポ蛋白質中の発色団結合サイトの環境に関する重要な知見を得た。 4.入手容易なビリルビンを出発物質とする新規で簡便なPΦB誘導体の一般合成法を確立した。 5.P_<fr>型に相当すると考えられるCD環部分の立体化学を固定したPCB誘導体の合成に成功した。
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