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¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
我々はジナフトヘテロ環化合物の開環反応を利用したグリニャールクロスカップリング反応で光学活性軸不斉2-メルカプト-2′-アルキルまたはアリール置換-1,1'-ビナフチルの合成にはじめて成功した.基質にはP-フェニルジナフトホスフォールとその酸化体であるP-フェニルジナフトホスフォールオシキドおよびジナフトチオフェンを用いた.ホスフォールおよびホスフォールオキシドの反応では,期待されたグリニャールカップリング生成物は得られなかった.ホスフォールを用いると未反応で原料が回収されるのみであったが,ホスフォールオキシドではメチルマグネシウムブロミドのリン原子への求核攻撃により生成するP-メチル化ビナフチルのみが得られた。それに対して,ジナフトチオフェンにニッケル触媒および種々のグリニャール試薬を反応させて検討したところ,ビナフチル炭素-イオウ結合の切断が起こり,目的とする光学活性カップリング体が得られた.反応条件調査の結果,触媒前駆体に3mol%のNi(cod)_2,不斉配位子としてNiの1.5倍量の(S)-iPr-Phoxを用いるp-トリルマグネシウムブロミドとの反応でTHF中,O℃,12時間で目的の2-メルカプト-2′-トリル-1,1′-ビナフチルが94%収率,95%eeで得られることを見出した.また,アルキルグリニャール試薬であるメチルマグネシウムブロミドとの反応では単座不斉ホスフィン配位子H-MOPを用いたとき,THF中,10℃,24時間で相当する2′-メチル体が97%収率,68%eeで得られた.今後,他のジナフトカルコゲンを基質とする反応に展開するとともに,得られた光学活性軸不斉チオールの様々な変換反応の検討を行う.
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