ABCトリブロックコポリマーの複雑相転移と自己組織化過程に関する研究
Project/Area Number |
13031052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 博一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60127123)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | トリブロック共重合体 / 秩序-無秩序転移 / ミクロ相分離 / 相転移 / 小角X線散乱 / 小角中性子線散乱 / 電子顕微鏡 / ナノ構造 |
Research Abstract |
A・B2成分からなるABジブロックコーポリマーは、A・Bブロック鎖間の相互作用の大小によりA・Bがミクロ相分離した秩序状態と相溶した無秩序状態のいずれかをとり、秩序状態では球、シリンダー、ラメラに加え、共連続構造などの複雑な形態の周期構造を形成することが知られている。成分数をさらに増加した場合、すべての成分が相溶した無秩序状態とすべての成分がミクロ相分離した秩序状態との間に、一部の成分のみが相溶あるいはミクロ相分離した中間状態が存在する場合が考えられる。また、第3成分Cを付加したABCトリブロックコーポリマーでは、その秩序状態の形態は飛躍的に増加し、予想困難な複雑な形態を持つミクロ相分離構造の出現までが報告されている。我々はこのように複雑な3成分ABCトリブロックコーポリマーの相転移と相転移に伴う自己組織化による周期構造形成の解明を目的とする研究を実施し、第3成分Cの連結性がA・Bブロック鎖間の相互作用や自己組織化過程に及ぼす効果を見いだした。 本研究では、試料としてポリイソプレン(PI)、重水素化ポリスチレン(DPS)、ポリビニルメチルエーテル(PVME)からなる3成分トリブロック共重合体(PI-b-DPS-b-PVME)を用いた。PIはDPSあるいはPVMEと低温で非相溶、高温で相溶のUCST(上限臨界共溶温度)型の相図を、DPSはPVMEと低温で相溶、高温で非相溶のLCST(下限臨界共溶温度)型の相図を持つため、PI-b-DPS-b-PVMEはUCST型とLCST型の相挙動を同時に内包する。試料のSANSおよびSAXS測定結果より求めた試料の構造周期を表す1次ピークのブラッグ面間隔D(D=2π/q_m、q_mはピーク位置における散乱ベクトルの値)の温度依存性から、次のような相挙動が明らかになった。140℃以下においては、両散乱曲線の解析および透過電子顕微鏡観察からDPS, PVME混合相が形成するマトリクス空間中でPI成分が球状ミクロ相分離構造を形成し、そのPI球は格子を組まず(長距離秩序を持たず)存在している。140℃以上においてはマトリックス中でDPS, PVME成分が相分離する結果、PI球、PVME球の2種類の球が出現し、単位体積中における球の数は増加する。PVME球の出現によってPI球間距離は広がり、一方では相溶化によりPI球の数は徐々に減少する。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)