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¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本特定研究では,種々の分子間相互作用を利用して階層的な分子構築を界面で行い,オンデマンド型表面を合成し,情報変換機能を有する表面分子系の創成を目指した。ここでは,(1)オンデマンドな表面合成のためにコンビナトリアル化学による種々の表面官能基をもつ無機有機複合体の合成と(2)表面錯形成能をもつアンカー基(たとえばホスホン酸基)をもちいたポリアセチレンやDNAなどの高分子との無機・高分子表面複合体の合成について検討した。課題(1)については,ホスホン酸基をもつビス(ベンズイミダゾリル)ピリジンを配位子とするルテニウム錯体とジルコニウムイオンとの錯形成を利用したレドックス活性金属錯体をITO基板上に自己組織化し、次いでZrイオン溶液に浸して錯形成させ、またRu錯体の溶液に浸けるという操作を繰り返すことで界面積層化が進むことをUVスペクトルの吸光度の直線的な増加から明らかにした。シリコン基板上に5層積層化した多層膜系をAFMで観察すると幅50~100nmの底部をもち、分子5層にほぼ対応する針状ドメイン構造が見られたことから積層化はドメインを作りながら起こることが明らかになった。異なる中心金属イオンをもつOs錯体を任意の位置にいれた積層膜も作製することもでき,各層がいずれもレドックス活性であることがわかった。 課題(2)については,側鎖にフェニルホスホン酸基をもつポリアセチレンとレドックス活性な金属錯体との表面複合体の合成を検討した。まずITO基板上にレドックス活性なRu錯体を自己組織化膜として一層固定した後に、ホスホン酸基によりジルコニウムイオンと錯形成後、フェニルホスホン酸基をもつポリアセチレン水溶液中に基板をつけた。UVスペクトルでこの過程を追跡すると、490nm付近の吸収はITO基板の第1層目に自己組織化したRu錯体のMLCT帯に基づく吸収はポリアセチレン水溶液に浸積後測定してもほとんどかわらずに,いままで吸収の谷であった400nm付近の吸収のみが増加するのが観測された。ポリアセチレン水溶液の浸積回数が増えるとともに400nmの吸収の増加が見られた。ポリアセチレン水溶液は400nm付近にブロードな吸収をもつことからポリアセチレン-Zrイオン-ルテニウム錯体積層構造が表面にできていることが推定できた。
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