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¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本研究では,化学修飾した核酸塩基の自己組織化によって分子認識部位を効率よく導入した水素結合性強相関高分子ゲル膜を調製し,その相補的水素結合能を外部刺激で動的制御することによって生体膜類似物質輸送とも呼べる強相関上り坂輸送の実現を試みた。その結果,以下のような成果が得られた。 1.水素結合性キャリヤーの合成とその自己組織化機能の検討 核酸塩基の一つであるウラシルを化学修飾することによって,末端にトリエトキシシランを有するウラシル誘導体の合成に成功した。新規なウラシル誘導体をシリコンウェハー上に自己組織化させて,その構造をX線光電子分光,エリプソメトリーおよび原子間力顕微鏡によってキャラクタリゼーションした。その結果,そのウラシル誘導体は水酸基を有する表面と容易に反応して,自己組織化単分子膜を形成することが明らかとなった。 2.水素結合性強相関ゲル膜の調製とその構造評価 末端トリエトキシシランを有するウラシル誘導体の自己組織化能を利用して,ポリビニルアルコールゲル膜内に水素結合性のキャリヤーとしてウラシルを導入した。また,得られたウラシル導入ゲル膜とアデニンとの相互作用を解明するため,アデニンの膜への吸着量測定を行った。その結果,相補的水素結合によってアデニンはウラシル導入ゲル膜内に選択的に吸着され,その吸着量はpHに大きく影響された。 3.水素結合性強相関ゲル膜による核酸塩基の上り坂輸送 外部刺激としてpH変化を利用して,ウラシル導入ゲル膜と核酸塩基類との相補的水素結合を動的制御し,濃度勾配に逆らった強相関上り坂輸送を行った。その結果,ウラシルと相補的水素結合を形成するアデニンのみが上り坂輸送され,水素結合を介した輸送メカニズムによって説明できた。
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