Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
既存の設備を用いて、以下の研究を進めた。1.Src型キナーゼの新規標的基質の同定Src型キナーゼを介するシグナル伝達を更に明らかにするために、固相リン酸化法やyeast two-hybrid systemなどを用いて、Src型キナーゼの基質・結合分子を検索した。その結果PSD-95・p250GAP及びp110NAPなどを得た。p250GAP及び既知のモチーフを持たないp110NAPは脳選択的な発現を示す新規分子であった。PSD-95及びp110NAPはマウス脳においてFyn依存的にチロシンリン酸化されていた。FynによるPSD-95の主要なリン酸化残基はPSD-95のGKドメイン内に位置し、このリン酸化によりPSD-95とGKドメイン結合分子DAP-1/SAPAP/GKAPとの結合が阻害された。p250GAPはCdc42及びRhoに対して選択的にGAP活性を示し、後シナプス肥厚部に濃縮していた。p250GAPはFynの他にNMDA受容体サブユニットNR2Bにも結合することから、NMDA受容体依存的なアクチン骨格制御に寄与する可能性が考えられた。2.Src型キナーゼの標的遺伝子の同定C57BL/6に高度に戻し交配したFyn欠損マウスと野生型マウスとの間で、脳における遺伝子発現プロファイルを蛍光differential display (FDD)法及びDNAマイクロアレイ法を用いて比較検討した。Fyn欠損マウスで発現量の低下している遺伝子群にはMAGやOMGなどオリゴデンドロサイトに発現する遺伝子も多く含まれたが、これら遺伝子群の発現がFynにより直接制御されるかを検討中である。
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