Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
1.イネゲノムに内在するRTBV様配列の構造 イネゲノムのデータベースやライブラリーのスクリーニングから内在するRTBV様配列(ERTBV)を単離し,合計18断片の構造を解析した。これらの断片はRTBVのORF3(最も長いORF)と相同部位を持つ。ERTBVの断片間では高度に再編成が生じていたが,塩基配列のレベルでは全体的に高い相同性(90%以上)を示していた。再編成部位を順々に並べ換えた結果,約7.5kbの環状構造を有する配列が再構築された。 2.ERTBVのウイルス様構造 これら3つのグループごとにコンセンサス配列を選んで塩基配列を組み直すと,3つのグループそれぞれで完全なORFを有する約7.5kbのウイルスゲノムが再現できた。3つグループの配列は似た構造からなるが,塩基レベルでは構造の違いが区別でき,ERTBV-A,-Bおよび-Cとした。ERTBVの最も長いORFにはRTBVのORF3と同一の機能を持つタンパク質遺伝子が同じ順序でコードされていた。ERTBV-A,-BおよびCは過去に存在した2本鎖DNAウイルスで現在のイネの祖先種に感染し,ウイルスの環状配列が,ゲノムへ挿入した時に逆位等の再編成が生じ,現在のERTBV断片が発生したと推定できた。また,RTBVウイルスゲノムは植物ゲノムに比べ,140倍の速さで進化していると推定できた。 3.ERTBVとイネ属植物の種分化 ERTBVの3つのグループそれぞれにジャポニカ系統およびインディカ系統で得られたERTBV断片が存在することから、ERTBVはO. sativaの分化以前に挿入していたと考えて間違いない。また,ハイブリダイゼーション実験からERTBVはアジアに分布するイネ植物種を中心に検出され,アフリカや南米種のイネ属植物では検出されなかった。従って,ERTBVのイネ属植物ゲノムヘの挿入は,Oryza属のアフリカや南米種が分化した後からジャポニカ・インディカ系統に分化する前の期間に起こったと考えられる。
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