線虫の化学走性とその可塑性に関わる神経回路と機能分子の同定
Project/Area Number |
13041012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 雄一 東京大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (40192471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國友 博文 東京大学, 遺伝子実験施設, 助手 (20302812)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥7,200,000 (Direct Cost: ¥7,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
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Keywords | 線虫 / 化学走性 / 行動可塑性 / Ras-MAPキナーゼ / シグナル伝達 / インシュリン / 嗅覚レセプター |
Research Abstract |
我々は以前に線虫が水溶性誘引物質(NaCLなど)と飢餓とを同時に経験することにより、その誘引物質への化学走性が消失し負の化学走性を示すようになることを見出した。水溶性物質と飢餓との同時経験により条件付けが起こることより、この行動可塑性は連合学習の一種ではないかと考えている。この学習に欠損を持つ変異体をいくつか見出した。インシュリン様分子、インシュリン受容体、PI.3キナーゼからなる経路の各変異体(順にins-1,daf-2,age-1)が学習に欠損を示した。age-1変異体に正常型のage-1の遺伝子を各種細胞特異的プロモーターを用いて発現させ、いずれの神経細胞における発現によって欠損が回復するかを調べた。その結果、AGE-1PI3キナーゼが感覚神経上で働くことにより行動が変化することが分かった。従って、この学習にはインシュリン様分子が感覚神経上のレセプターに働くことが必要であることが示唆された。一方、石原・桂(国立遺伝研)らにより分離されたhen-1変異体もこの学習に欠損を示した。hen-1変異体は、匂い(通常誘引行動を誘起する)と銅イオン(通常忌避行動を誘起する)が同時に呈示された際の、誘引行動と忌避行動の二者択一に異常を示す変異体として分離されたものである。この変異体がNaClと飢餓の組み合わせによる学習にも欠損を示した。hen-1はLDL受容体モチーフを一個だけ持つ小さな分泌蛋白質で、感覚神経ASEと介在神経AIYに発現する。細胞特異的発現レスキュー実験により、NaClの可塑性においてhen-1は細胞非自立的に働くこと、hen-1は発生時でなく行動時に機能することが分かった。分泌されたHEN-1はニューロモデュレーターとして機能するのではないかと推定している。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)