アルツハイマー病脳におけるミクログリア活性化経路と活性化阻害物質の検索
Project/Area Number |
13210020
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 一弘 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70323293)
|
Project Period (FY) |
2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
|
Keywords | ミクログリア / Aβ蛋白 / 電子顕微鏡 / アルツハイマー病 / 老人斑 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)脳の特徴的な病理所見は、神経細胞死,神経原線維変化,老人斑であるが、なかでも老人斑はAβ蛋白を主成分とし、活性化したミクログリア(MG)も認める。またMGはサイトカイン分泌の中心であり、ラジカルの主たる発生源なので、MGの活性化を抑制することは、神経細胞死を抑制する上で重要と考えられる。Aβ蛋白によるMG活性化の研究は多数あるが、Aβ蛋白がMGを活性化させるか否かについて、未だに一定の見解が得られていない。われわれはAβ蛋白の線維形態を電子顕微鏡で、MGの活性化程度をGriess変法を用いて調べ、両者の関係を明らかにすることを目的とした。 生後1〜3日齢マウス大脳由来のMGと6種類のAβを用いた。7日間37℃でincubationさせたAβとincubationさせないAβを作成した実験に使用した。AβとIFN-γをMG培養上清に投与し、24,48時間後の上清中nitrite濃度でMG活性化の指標とした。これらAβの中にはMGを活性化させるもの(活性型Aβ)と活性化させないもの(非活性型Aβ)があった。非活性型Aβは径約10nmの線維よりなる数本の非常に長い線維または比較的短い線維が集束した線維凝集束であった。一方、活性型Aβは直径10nm以下の短い糸くず状の線維が塊状構造(<20〜30nm)をとっていた。この凝集塊はLipopolysaccharide(LPS)による凝集塊に類似していた。次に電子顕微鏡で長い線維が確認された非活性型Aβを凍結・融解法にて破壊して活性型Aβ凝集塊作成を試みた。活性型Aβと大きさは近似していたが、MGを活性化させることができなかった。線維構造を比較してみると線維形成後に凍結・融解法で作成した凝集塊は集束した数本の線維が切断され凝集しているが、線維形成過程で生じた凝集塊は比較的短く細い線維が高次構造をとり、凝集塊を形成していた。活性型Aβは、線維形成段階での条件が重要であると考えられ、至適条件にて形成された短い糸くず状のAβ小凝集塊がMGを活性化させると推察される。また、LPS凝集塊との類似性からAβペプチドのMG活性化経路はLPS受容体と共通経路である可能性が示唆された。今後、この受容体の同定とAβ蛋白との結合実験および細胞内活性化経路の解明を行い、MG活性化阻害物質を検索する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)