発達期視覚野の視覚情報処理における脳由来神経栄養因子の役割
Project/Area Number |
13210085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
畠 義郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40212146)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥5,100,000 (Direct Cost: ¥5,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥5,100,000 (Direct Cost: ¥5,100,000)
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Keywords | 一次視覚野 / 眼優位性コラム / 視覚遮断 / 生後発達 / 神経栄養因子 / ネコ / 可塑性 |
Research Abstract |
哺乳類視覚野の片眼視覚遮断による変化は、発達脳の可塑性のモデルとして広く研究されてきたが、近年、この可塑性に神経栄養因子が重要な役割を果たすことが示唆されている。シナプス後皮質細胞より分泌される神経栄養因子を、シナプス前線維が競合的に受容し、その競合の結果コラムの拡大や縮小を引き起こすという仮説である。報告者はこれまで、発達期の一次視覚野に脳由来神経栄養因子(BDNF)を持続的に投与すると、すでに出来上がった眼優位性コラムがdesegregateし、コラム構造が見られなくなることを見いだした。また、片眼遮蔽を行った動物では、健常眼のコラム、遮蔽眼のコラム共にdesegregationを示した。このことはBDNFが発達期の視覚野において、視床からの入力線維の皮質内分布に影響を与えうることを示す。しかし、外部より大量に投与したBDNFの影響が、内因性BDNFの機能を反映するものかどうかは明らかでない。そこで、視覚野内でのBDNFによるシグナル伝達を阻害した場合、正常な可塑性を示すかどうかを検討した。生後4-5週の仔ネコの両側一次視覚野にステンレスカニューレを留置し、浸透圧ミニポンプを用いてBDNFの高親和性受容体であるTrk受容体の活性阻害薬K252aあるいはリンゲル液を持続投与した。その後、一方の眼を眼瞼縫合により視覚遮断した。動物を麻酔、非動化し、カニューレ周辺の皮質より多数のニューロンのスパイク活動を細胞外記録し、各ニューロンの眼優位性を調べた。その結果、リンゲル液投与部位周辺においては、ほとんどのニューロンが遮蔽眼に対する反応性を失っていたのに対して、K252a投与部位周辺においては、健常眼に対する反応の方が優位ではあるものの、多くのニューロンが両眼反応性を維持していた。この結果は、Trk受容体を介する細胞内シグナルが、発達期視覚野の可塑性発現に大きな役割を果たしていることを示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)