前頭前野神経回路ダイナミクスとワーキングメモリ機能生成
Project/Area Number |
13210123
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田中 昌司 上智大学, 理工学部, 教授 (30188304)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Keywords | ワーキングメモリ / 前頭前野 / シミュレーション / 大脳皮質 / 神経回路 / ダイナミクス / ドーパミン / 高次機能 |
Research Abstract |
前頭前野神経回路の時間空間特性を調べるために、ニューロンのシナプス入力すなわち後シナプス電流を解析した。回路モデルは昨年度に開発した2層モデルを拡張して、3層モデルとした。その結果、各層のニューロンの発火特性の違いが明白になり、回路内の信号伝達の時空間特性が求められた。さらに、選択的注意や思考などの脳の高次機能を司る神経回路の特性を調べるために、複数の空間情報を扱う課題を想定した回路シミュレーションを行った。その結果、回路は複数の空間情報を表現すること、その中から一つを選択すること、不要な情報を除去することなどの性質をもつことを始めて明らかにした。また、それらの異なるモードを切り替える際に、NMDA型レセプターが極めて重要な役割を果たすことを始めて示した。同時に、皮質内局所抑制が回路ダイナミクスを調整し、これら複数モードの実現を可能にしていることを示唆した。さらに、皮質内のドーパミンがこれらの回路ダイナミクスを調整している可能性を始めて示した。皮質内のドーパミン濃度には適切なレベルが存在し、それを超えると、高すぎても低すぎても回路ダイナミクスは正常なものから大きく逸脱する。本研究はこれをシミュレーションによって再現したのみならず、正常な濃度範囲でのわずかなドーパミン濃度の変化が、回路ダイナミクスを質的に変えて、複数の認知プロセスを切り替える可能性を始めて示した。これらの知見は、脳の高次機能を理解するための重要な指針となることが期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)