Tollファミリー分子による病原体認識機構の解明とそれを応用した癌免疫療法の開発
Project/Area Number |
13214083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三宅 健介 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60229812)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
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Keywords | RP105 / MD-1 / MD-2 / Toll-like receptor / LPS |
Research Abstract |
グラム陰性菌の膜成分リポ多糖(LPS)を免疫細胞が認識する機構についての解析を進めた。LPSはToll-like Receptor4(TLR4)と我々が発見したTLR4会合分子MD-2による複合体TLR4/MD-2によって認識されることを我々は昨年報告した。本年はTLR4/MD-2のプロトタイプであり、我々が発見したRP105/MD-1複合体のLPS認識における役割をノックアウトマウスを用いて検討した。RP105ノックアウトマウスのB細胞は問題なく産生され、分化し、B細胞レセプター、CD40を介するシグナルには異常は認められなかったが、LPS刺激による増殖反応と抗体産生反応において低応答性を示した。低応答性のメカニズムを細胞株を用いて検討したところ、TLR4/MD-2とRPl05/MD-1が、B細胞におけるLPS認識において機能的に協力していることが明らかになった。 TLR4は単独ではLPSを認識できず、MD-2が会合したTLR4/MD-2複合体になって初めてLPSを認識できる。MDタンパクはLPS認識に重要な役割を果たしている。このMDタンパクの機能解析を進め、以下の成果を得た。 1.MDタンパクの役割を明らかにするために、昨年度のRP105ノックアウトマウスに続いてMD-1ノックアウトマウスを作成し、その解析を行った。またその解析のためにマウスMD-1に対するモノクローナル抗体も作製した。RPl05欠損B細胞はLPS低応答性を示すが、MD-1欠損B細胞も同様なLPS低応答性を示した。そこで、MD-1欠損B細胞の細胞表面でのRP105、MD-1の発現を調べてみると、MD1ばかりでなく、RP105の発現も検出できなかった。すなわち、MD-1がRPl05の細胞表面への発現に必須の分子である事が明らかになった。 2.MD-2の機能解析としてlipid A誘導体を用いた実験を行った。Lipid IVaはLipid Aの誘導体であり、マウスにはアゴニストとして、ヒトにはアンタゴニストとして作用する。この種特異的な薬理作用がTLR4によって規定されるのか、MD-2によって規定されるのか検討するためにマウスTLR4/ヒトMD-2のキメラ複合体を発現する細胞株を確立し、LipidIVaに対する応答性を検討したところ、ヒトと同様にLipidIVaは拮抗剤として作用した。 MD-1がRP105の発現に必須であることをノックアウトマウスを用いて示した。MD-2においても同様である可能性があり、MDタンパクはTLRの発現に重要な役割を果たしている可能性がある。さらにMDタンパクはTLR4によるLPS認識に必須の分子であることをLipid IVaを用いて示した。LipidIVaの結果はTLR4によるLPS認識の微妙な特異性がMD-2によって影響されることを示しており、TLR4のエンドトキシン認識にMD-2が直接関わっていることを示唆している。これらの結果は癌免疫療法のために免疫賦活剤を開発するうえで、TLRばかりでなくMDタンパクも標的分子となりうることを示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)