ピロリン酸モノエステル類縁体を用いた新規がん標的治療法の開発
Project/Area Number |
13218068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 義正 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (90280700)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥8,400,000 (Direct Cost: ¥8,400,000)
Fiscal Year 2001: ¥8,400,000 (Direct Cost: ¥8,400,000)
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Keywords | T細胞受容体 / がん免疫 / γδ型T細胞 / 抗原認識 / 獲得性免疫 / 自然免疫 / がん標的免疫療法 / がん抗原 |
Research Abstract |
がん免疫療法の確立への試みとして、特異的がん抗原を標的とする獲得性免疫機構を利用したCTL療法と、非特異的免疫作用である自然免疫系を利用したサイトカイン療法がある。前者においては、癌細胞を特異的に傷害できる反面、がん抗原の同定が一般に困難なこと、がん抗原特異的T細胞の大量調製が困難かつ高額であることなどの問題がある。後者においては、細胞の大量調製が比較的簡易である反面、細胞傷害性が非特異的であり、かつ細胞傷害活性がエフェクター細胞の活性化状態に著しく依存するためその制御が困難である。そこで今回、特異的免疫療法と自然免疫療法の両者の特徴を兼ね備えた、がん標的免疫療法の確立のための基礎的検討を試みた。ヒトγδ型T細胞は、結核菌、マラリア原虫、病原性大腸菌O157などの病原性微生物が産生するピロリン酸モノエステル系抗原を認識して初期生体防御機構において重要な役割を果たしているという点で自然免疫系の細胞種であると考えられているが、その認識機構は遺伝子の再構成を経たγδ型T細胞受容体を利用しているという点で獲得性免疫系のそれに近い。すなわち、γδ型T細胞は自然免疫と獲得性免疫の中間的性質を有していることが示唆される。本研究の結果新たに明らかになったこととして、γδ型T細胞受容体による非ペプチド性抗原認識機構において抗原基決定部位領域3のリジン残基が必須であることがあげられる。この領域はもともとジャームラインにコードされているアミノ酸領域であるので、非ペプチド性抗原の認識においては遺伝子再構成の結果抗原との親和性が新たに創出されたのではないことを示している。以上より、γδ型T細胞の自然免疫的性質を利用して非ペプチド性抗原を用いた細胞増殖を容易にかつ安価で行い、また、T細胞受容体依存的ながん細胞傷害性を利用した新しいがん治療法確立のための理論的根拠が示された。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)