ヘリコバクターピロリcag pathogenicity islandと胃癌(菌体-宿主相互作用の解析)
Project/Area Number |
13220005
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
|
Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
東 健 福井医科大学, 医学部, 助教授 (60221040)
|
Project Period (FY) |
2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2001: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
|
Keywords | H. pylori / 胃癌 / cagA |
Research Abstract |
本研究は、胃発癌リスクの個体差を菌体-宿主相互作用の点で検討することを目的とし、H. pyloriと宿主細胞間の相互作用における細胞内シグナル伝達制御機構の解析を行った。H. pyloriのゲノムには本来H. pyloriのものではない外来性の遺伝子群が存在している。これは病原性大腸菌など多くのグラム陰性菌に共通した現象であり、これらの細菌では、この外来性遺伝子群を持つことで病原性を発揮することが認められており、この遺伝子群をpathogenicity island(PAI)と呼んでいる。H. pyloriでは、病原因子の一つである細胞空胞化毒素関連蛋白(CagA)の遺伝子cagAがこのPAI内に位置しておりcagPAIと呼ばれている。H. pyloriのcagPAI内にはtype IVのsecretory systemの遺伝子が存在し、H. pyloriが胃粘膜上皮細胞に感染すると、type IV secretory systemがH. pyloriの細胞膜から上皮細胞膜へ針をさすように突き刺さり、その内腔を通してCagAがH. pyloriから胃粘膜上皮細胞内へと注入される。上皮細胞内に注入されたCagAは、上皮内でチロシンリン酸化を受けることが認められた。また、胃粘膜上皮細胞内でチロシンリン酸化されたCagAがsrc homology phosphatase-2(SHP-2)とsrc homology 2 domain(SH2ドメイン)において特異的に結合し、細胞増殖に作用することが認められた。さらに、日本の胃癌由来株(F32)のcagPAIの全塩基配列を決定し(36,534bp)、欧米株のcagPAIと比較したところ、cagAの3'領域のチロシンリン酸化部位に一致し、胃癌株に特有な繰り返し配列が認められた。したがって、日本のcagPAIを持ったH. pyloriは病原性が強いpathogenic H. pyloriと考えられ、胃発癌に関与することが示唆された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)