消化器癌における遺伝子多型を用いた癌疾患感受性の解析と臨床応用
Project/Area Number |
13220012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渋田 健二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (70253531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 正樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70190999)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥6,100,000 (Direct Cost: ¥6,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥6,100,000 (Direct Cost: ¥6,100,000)
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Keywords | 遺伝子多型 / 消化器癌 / 食道癌 / 疾患感受性 / N-アセチル転移酵素 / NAT2 |
Research Abstract |
【背景と目的】N-アセチル化多型は、環境中のアリルアミンを代謝解毒するN-アセチル転移酵素の多型性に起因する代表的な遺伝学的形質であり様々な疾患感受性との関連性が知られているが、これまで食道癌に対する疾患感受性解析は進んでいない。【方法と結果】食道癌患者74名の切除標本からゲノムDNAを採取し、PCR-RFLP法によりN-アセチル転移酵素(NAT2)遺伝子の遺伝子型を決定して表現型を推定した。癌患者群における表現型分布を、234名の日本人健常者群での分布と比較検討するとともに、臨床病理学的特徴との関係を解析した。(1)食道癌患者の表現型分布は、対照群の分布と比べて遅延型の頻度が有意に高く(患者群18.9%:対照群9.6%、P=0.046)、迅速型に対する遅延型の相対危険度は2.6(P=0.023)であった。(2)リンパ節転移陽性患者の表現型分布は、陰性群での分布と比べて迅速型の頻度が有意に高く(陽性群52.0%:陰性群11.1%、P=0.04)、リンパ管侵襲陽性患者の表現型分布においても、迅速型の頻度が有意に高値を示した(陽性群51.9%:陰性群14.3%、P=0.03)。また迅速型患者の病期や予後も不良である傾向が認められた。(3)食道癌患者群の中で高喫煙者群(Brnkman Index [BI]:800≦)の表現型分布は、低喫煙者群(BI:800>)での分布と比べ迅速型の頻度が高い傾向が認められた。【考察】N-アセチル化多型は食道癌に対する個人の疾患感受性に重要な役割を果たしており、遅延型は発癌に対して、迅速型は生物学的悪生度に対して遺伝的危険因子の一つであることが示唆された。今後、標的遺伝子の枠を拡大し、癌へのかかりやすさを様々な遺伝子多型の観点から予測できるようになれば、将来発癌に対する予防策を講じる一助となることが期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)