Research Abstract |
デジタル画像機器と広帯域ネットワークの爆発的普及により、遠隔地間のコミュニケーションは動画像化・双方向化・実時間化の途上にあり、従来の音声や書面・図面による意図の伝達に比べ、より直感的かつ効率的なコミュニケーションが可能となっている。特に実存する事物に関する情報伝達については映像の果たす役割は大きく、特に土木・建築作業の管理や組立作業のように立体的な概念の伝達を必要とする分野では、遠隔地間での協同作業の可能性が拡がっている。そこで本研究課題では、遠隔協同作業のなかでも、実環境中に既に存在する物体に対して何らかの作業を行う者に対し、遠隔地から作業手順の指示やアドバイスを与えるための遠隔指示システムに関して検討した。また,遠隔地から情報を入力する手段や,情報を抽象化して表示する手法に関しても検討を行った. 液晶プロジェクタとカメラより構成されたレンジファインダで作業空間の3次元形状を計測し、これより生成したCGモデルを遠隔地へ伝送することにより、指示者は作業対象の様子を任意の方向から観察することが出来る。また、指示者が操作画面上に指示を書き込むと、液晶プロジェクタより作業対象上へその指示が投影される。対象の3次元形状を得ていること、カメラ・プロジェクタのパラメータを同定していることにより、対象の形状や指示者がCGを観察する方位等とは無関係に、正確な位置に指示を投影することが可能である。指示は対象上に直接投影されるため、作業者はHMD等の機器を装着せずに自由に作業を行うことが可能である。また、複数のカメラと液晶プロジェクタを物体周囲に配置することにより対象の全周形状計測と全周への指示を可能とし、また作業者による投影光の隠蔽にも対応している。さらに、シーン中の任意形状物体を移動するための指示や、形状が既知の物体をシーン中に新たに配置するための位置合わせ指示も行うことが出来る。
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