ヘリコバクター感染による胃癌発症関連宿主因子の同定
Project/Area Number |
13226003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉山 敏郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00196768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅香 正博 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10113507)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | DNAアレイ / H.pylori / 胃癌 / 胃上皮細胞 |
Research Abstract |
H.pyloriは胃癌の主要因と考えられるが、我が国の感染者は5000万人-6000万人と推定され、理論的に本菌によって発症した累積胃癌患者数は516万人と推定される.胃癌予防のためにすべての感染者を除菌することは医療経済上も不可能であり、宿主因子から高危険群を絞り込む必要がある.感染後の胃上皮細胞内の情報伝達系の解明は、その重要な手がかりを与える.本研究ではDNA microarrayを用い、H.pylori感染胃癌胃粘膜のmRNA発現を明確にし、胃発癌に至る高危険群の絞り込みに有用な宿主因子を明らかにする. 約700種の細胞増殖因子、アポトーシス関連、炎症性サイトカイン、がん抑制、発癌関連、転写因子遺伝子を標的にしたDNA microarrayを作成した.H.pylori(標準株)とco-cultureした胃癌細胞株(KATOIII, AGS, MKN45, MKN28)からRNAを抽出、上記DNA microarrayとハイブリダイズさせ、数種類の増幅する遺伝子を選別、目的に合致する数種の遺伝子を特定しつつある.cagPAIは4型分泌機構を形成し、感染細胞内へH.pylori由来の複数の蛋白を挿入し、細菌と感染宿主の相互作用を担う分子機構である.CagPAI上のCagAは本機構を介して細胞内に進入し、リン酸化を受けることが判明していたが、最近、CagAが胃上皮細胞内でSHP-2型のチロシンホスファターゼと複合体を形成し、本チロシンホスファターゼがシグナル分子として介在し、CagAによる細胞形態変化(hummingbird)を惹起することを明らかにした.上皮細胞のhummingbird様変化はHGFなどの増殖因子の作用により誘導される形態変化であることが知られており、CagAも類似の機能を有し、感染宿主細胞の情報伝達系と関連していることが推定される.
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)