サイトメガロウイルス感染に対する細胞応答のトランスクリプトーム解析に関する研究
Project/Area Number |
13226023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 慎哉 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70251444)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | ヒトサイトメガロウイルス / マイクロアレイ / 宿主遺伝子 |
Research Abstract |
ヒトサイトメガロウィルス(HCMV)感染にともなう宿主側の細胞応答を網羅的に解析し、ウイルス感染に対するトランスクリプトーム解析の先駆的モデルを提出することを目標として、平成13年度は以下のことを行った。平成13年7月までにhuman RefSeq9,600遺伝子、平成14年1月までにhuman RefSeq12,000遺伝子からなる合成DNAマイクロアレイの作製を完了した。合成DNAマイクロアレイに特化したハイブリダイゼーションにおいてシグナル・ノイズ比を極大化する装置を開発し、特許出願した(特願2001-323412;スライドガラスハイブリダイゼイションチャンバ)。 HCMVおよびUV不活化HCMV感染後4、8、24、48、72時間のヒト正常線維芽細胞からmRNAを抽出し、作製した合成DNAマイクロアレイとハイブリダイズさせ、遺伝子発現プロファイルを取得した。さらに、HCMVおよびUV不活化HCMV感染後24時間の培養上清からウイルス粒子を除いたものを培地として24時間培養した正常線維芽細胞から同様にして遺伝子発現プロファイルを得た。これらのプロファイルを集積してクラスタ解析を行い、HCMV粒子の細胞への結合・侵入が急速な宿主細胞応答をひき起こし、細胞外に放出される種々の宿主因子の遺伝子発現が上昇すること、さらにそれらの宿主反応はウイルス遺伝子の発現に従属して低下することを明らかにした。すなわち、これらの結果は、HCMV遺伝子の発現によりそれに先立っておきる宿主側の応答が抑制されることを示している。 HCMV粒子の許容細胞表面への結合あるいは細胞内への侵入を契機として主として炎症に関与する多くの宿主遺伝子が発現され、ウイルス遺伝子の発現および複製サイクルの始動がない場合はそれらの高発現レベルが維持されることから、これらの宿主反応を抑制できるどうかがHCMVの許容性決定のひとつの指標となるのではないかと考える。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)