感染と宿主応答におけるJAK/STAT制御蛋白の役割の解明
Project/Area Number |
13226062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲 哲治 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30303936)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | SOCS / SSI / CIS / JAK / STAT |
Research Abstract |
感染およびその宿主応答において、サイトカインは重要な役割をはたすことが知られている。例えば、IFN-γはマクロファージを活性化しその貪食能を高めるとともに、一酸化窒素(NO)などを産生させることにより、微生物を効率良く殺させる。すなわち、自然免疫においてIFN-γは重要なサイトカインといえる。また、獲得免疫においても、IL-6はB細胞の抗体産生細胞への分化に、IL-4はT細胞のTh2細胞への分化、B細胞のIgE, IgG1の産生に、IFN-γはIgG2aの産生にそれぞれ主要な役割をはたす。1997年にわれわれが単離したSOCS (Suppressor of Cytokine Signaling)/SSI(STAT-induced STAT inhibitor)-1は、サイトカインシグナル伝達の主要な伝達因子であるJAK蛋白に結合し、その活性化を抑制することによりサイトカインシグナル伝達を阻害する分子である。in vitroでSOCS-1は、IFN-γの刺激で最も強く誘導されるが、SOCS-1 KOマウスを用いた解析から、SOCS-1はIFN-γの下流の因子であるSTAT1のみならずIL-4の下流の因子であるSTAT6の活性化の阻害にも作用することが明らかになっている。また、SOCS-1はIL-4やIFN-γ以外にインスリンやTNF-αのシグナル伝達も阻害することが明らかになっている。このことは、SOCS-1がJAK-STAT系以外にも作用することを示唆している。SOCS-1のこのような機能を考える合わせると、感染およびその宿主応答においてもSOCS-1は重要な作用を持つことが十分考えられる。実際に、生後3-5日のSOCS-1 KOマウスはLPS 5ugの腹腔内投与により、投与後約5時間以内に全例死亡し、コントロールのWTマウスの致死量であるLPS1mgに比べ、SOCS-1 KOマウスではin vivoでLPS高感受性となっていた。また、SOCS-1 KOマウスではLPS投与による血清TNF-αはWTマウスの約7-8倍の増加を示した。つぎにSOCS-1 KOマウスのsplenic adherent cellを採取し、in vitroでLPSで刺激してTNF-αおよびIL-12を測定したところ、WTマウスに比しSOCS-1 KOマウスでは各々約7-8,10倍の増加を示した。また、SOCS-1を安定発現したRaw細胞株においてLPSによるNO産生の抑制が認められた。これらの事実からSOCS-1 KOマウスはLPS刺激に対して高感受性になっていることが明らかになった。そして、SOCS-1 KOマウスにおけるLPS toleranceの有無を調べるために、致死景以下のLPS(0.5ug)を投与し、その24時間後に致死量のLPS(KOマウスでは50ug、WTマウスデは1mg)を投与したところ、SOCS-1 KOマウスでは、LPSの前処置の有無にかかわらず、全例死亡したが、WTマウスでは、LPS0.5ugの前処置により、致死量のLPS 1mg投与においても全例生存していた。また、SOCS-1 KOマウスのsplenic adherent cellを採取し、in vitroでLPSで前刺激し、その後、再度LPS刺激を加えて培養液中のTNF-αを測定したところ、コントロールのWTはLPSの前刺激により、つぎのLPS再刺激によるTNF-αの産生抑制が認められるが、SOCS-1 KOマウスのsplenic adherent cellでは、その抑制効果が消失していた。すなわち、SOCS-1 KOマウスでは、in vivo, in vitroでのLPS toleranceが消失していることが明らかになった。これまでの解析結果から、SOCS-1が何らかの機序でLPSシグナル伝遠に関与している可能性が十分に考えられる。しかしながら、SOCS-1はIFN-γの強力なnegative feedback分子であることから、IFN-γを介する2次的現象を観察している可能性も否定できない。今後は.SOCS-1のLPSシグナル伝達における分子生物学的機序を明らかにする予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)