人工糖脂質リポソームを用いる細胞性免疫誘導型感染症ワクチンの開発
Project/Area Number |
13226117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
水落 次男 東海大学, 工学部, 教授 (90133149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 直也 東海大学, 工学部, 助教授 (30183338)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | ワクチン / 人工糖脂質 / 感染症 / 細胞性免疫 / リーシュマニア |
Research Abstract |
感染症に対する生体防御において細胞性免疫反応の重要性が報告され、病原体に対する細胞性免疫を誘導するワクチンの開発が感染防御や発症の制御に重要であることが指摘されており、そのためには細胞性免疫を誘導できるアジュバントが必要である。しかし、ヒトに対して使用できる安全なアジュバントは見あたらない。そのため、細胞性免疫誘導能をもち、しかもヒトに対して毒性がなく安全なアジュバントの開発は、今後の感染症に対するワクチンの開発にとって非常に重要である。我々は、ヒトの生体内に広く存在する糖蛋白質の特定の糖鎖と脂質から成る人工糖脂質の作製に成功し、この人工糖脂質で被覆したリポソームに封入抗原に対する細胞性免疫を強く誘導するアジュバント作用があることを見いだした。そこで本研究では、この人工糖脂質被覆リポソームを様々な感染症に対する細胞性免疫誘導型ワクチンのアジュバントとして利用するために、感染モデルとしてHIVおよびリーシュマニア原虫を用いて、これら病原体に対する蛋白質・ペプチドワクチンやDNAワクチンを試作し、そのワクチン効果を評価し、抗原提示細胞を用いて人工糖脂質の作用機構を解析する。本年度は、リーシュマニア原虫を用いたワクチン効果の評価系の確立を試みた。 マンノペンタオース(M5)とジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)を還元アミノ化反応で化学的に結合させM5-DPPEを合成した。また、リーシュマニア原虫から可溶性蛋白質を調製し、この可溶性蛋白質を抗原とし、この抗原を封入した人工糖脂質被覆リポソームを作製した。この抗原封入人工糖脂質被覆リポソームでBalb/cマウスを免疫後、リーシュマニア原虫をマウスのfoot padに経皮感染させ、感染によるfoot padの腫脹を経時的に測定し、人工糖脂質被覆リポソームワクチンのリーシュマニア原虫感染に対する有効性の評価を行った。その結果、抗原のみあるいは人工糖脂質で被覆していない抗原封入リポソームで免疫したマウス群は著しいfoot padの腫脹が認められたが、この抗原封入人工糖脂質被覆リポソームで免疫した群のマウスではfoot padの腫脹は対照群と比べて顕著に小さかった。この結果は、この抗原封入人工糖脂質被覆リポソームで免疫することによって、リーシュマニアの感染がある程度予防できたことを意味している。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)