ヒトパピローマウイルスの表皮基底層持続感染と宿主細胞分化に伴う増殖機構の研究
Project/Area Number |
13226131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
神田 忠仁 国立感染症研究所, 遺伝子解析室, 室長 (60134615)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Keywords | ウイルス / 持続感染 / 発生・分化 |
Research Abstract |
子宮頚癌の原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)は皮膚や粘膜の微小な傷から表皮内に侵入し、表皮基底層の細胞にエピゾームの状態で持続感染する。宿主細胞が最終分化を始めるとHPVは増殖する。このようなHPV持続感染の成立・維持と増殖の分子機構の解明をめざしている。 HPVゲノムには2つのプロモーター、p97とp670、があり、p670からはゲノムの複製に必要な蛋白質E1とキャプシドの構成蛋白質、L1及びL2のmRNAが転写される。通常の培養細胞ではp670は不活性で、ゲノムの複製もキャプシドの形成も起こらない。しかし、培養細胞に表皮基底層細胞の分化を誘導する転写因子、hSkn-1a、がp670を活性化することを見いだした。hSkn-1aがp670の近傍2カ所に塩基配列特異的に結合すること、この結合部位にはYY1も結合することがわかった。また、結合配列に置換変異を導入してYY1と結合できない構造にするとp670からの転写が起こった。gelshift assayでは結合配列を持つ合成DNA断片とYY1を予め結合させた後にhSkn-1aを加えると、YY1とhSkn-1aの置換が起こった。これらの成績は、hSkn-1aがp670の近傍にYY1と置き換わりながら結合し、YY1による転写の抑制を解除することを強く示唆している。 hSkn-1aを培養細胞で発現させ続けることはできないので、hSkn-1aの発現をon/offできるHeLa細胞株を作った。hSkn-1aの発現を誘導すると数日で分化のマーカーであるケラチン10が発現し、扁平な非増殖性の細胞が出現した。hSkn-1a発現下では、p97からの転写が著しく増強され、p670からの転写も起こった。今後、この細胞株を利用してHPVp670活性化の詳細な分子機構を調べる。
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Report
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Research Products
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