Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,人間がどのようなときに因果関係を認知するかについて、確率論的モデルを用いながら,適応的観点から明らかにすることであった.昨年度の研究では,従来の研究とは異なる観点から新たに二要因ヒューリスティックス・モデルを提案し,このモデルが従来の随伴性モデルに比べて,記述的妥当性の観点から圧倒的に優れていることを示した.今年度は,その結果を踏まえ,二要因ヒューリスティックス・モデルがなぜ記述的妥当性を持つのかを,コンピュータ・シミュレーションによって明らかにした. まず,因果帰納とは2事象(原因と結果)間のどういう関係の帰納なのかについて,過去の実験データを基に分析したところ,四分点相関係数で表わされる共変関係であることがわかった.次に,2事象の生起の2×2分割表について従来用いられてきた指標(24個)を網羅し,コンピュータ・シミュレーションにより,事象の生起確率分布を様々に変化させて,共変関係の検出の正確さと効率について分析した.その結果,二要因ヒューリスティックス・モデルは,有効性,節約性,効率性の総合的観点から,最も優れた指標であることが明らかとなった.このことから、二要因ヒューリスティックス・モデルは,現実世界の環境において適応的な情報処理を実現する適応的ヒューリスティックスであることがわかった. また,Wason選択課題において見られる論理的推論の誤りも,このモデルによって統合的に説明できることが示された.つまり,従来のアプローチとは異なり,論理的推論過程を確率的に分析することにより,推論課題において見られるバイアスが適応的ヒューリスティックスに起因する可能性が示された.
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