知的障害者における自動的聴覚処理の事象関連電位による検討
Project/Area Number |
13710057
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教育・社会系心理学
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
池田 一成 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50293006)
|
Project Period (FY) |
2001 – 2002
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
|
Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | 知的障害 / ミスマッチ陰性電位 / 自動的聴覚処理 / 純音 / 複合音 / 事象関連脳電位 |
Research Abstract |
1.研究活動の概観:今年度は前年度と同様に知的障害者と健常者に対して聴覚誘発反応およびミスマッチ陰性電位(MMN)を指標とする実験研究を継続し,次に述べる諸知見を確認した。また前年度における研究成果を予備的報告として国内外の学会において発表した。 2.研究の目的と方法:標準刺激および逸脱刺激として,純音のみまたは複合音(合成母音)のみの対を提示し,知的障害者および健常者における自動的聴覚処理を検討した。純音対と複合音対の周波数上の差異は同一とした。逸脱刺激により誘発されるMMNを検討した。 3.研究結果: (1)MMN潜時:MMNの潜時は知的障害者と健常者共通に,複合音に比べ純音でより短縮した。知的障害者と健常者の間に潜時の有意差は生じなかった。 (2)MMN振幅:MMNの振幅には音の種類に依存して結果の差異が生じた。すなわち,複合音では知的障害者と健常者の間に有意な振幅差がないにも関わらず,純音では知的障害者の振幅が健常者のものより有意に減衰した。 (3)暦年齢(CA),精神年齢(MA)とMMNの各測度との相関:知的障害者においてCA, MAとMMNの各測度との相関を検討した結果,CAと複合音による振幅との間に正相関が有意になり(加齢にともないMMNが減衰),MAと複合音による潜時との間に負相関が有意になった(MA上昇にともない潜時短縮)。純音による潜時・振幅とCA, MAの間には有意な相関が生じなかった。 4.結論:知的障害者と健常者の差異が純音によるMMN振幅にのみ現われたことから,知的障害の因子が純音に対する自動的聴覚処理に選択的に影響を及ぼしたと考えられる。ただし,純音によるMMN振幅とMAの間に有意な相関が生じなかったことから,知的障害の因子が知的発達の因子(MAに反映される)と独立しうることが示唆される。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)