国際関係の視点からみた日本植民地法制度の形成と展開に関する構造的研究
Project/Area Number |
13710203
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Japanese history
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
浅野 豊美 中京大学, 教養部, 助教授 (60308244)
|
Project Period (FY) |
2001 – 2002
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | 帝国 / 植民地 / 国際私法史 / 国際関係史 / 社会工学 / 同化 / 不平等条約 / 外地法 / 日本帝国 / 法制 / 属人法 / 治外法権 / 条約改正 / 国際秩序 / 国民国家 |
Research Abstract |
本研究を通じて、帝国法制の二大特徴が明らかとなった。 第一の特徴は、東アジア国際秩序の政治的サブシステムとしての日本帝国の法的性格である。これは、日本自身の帝国化が台湾領有とほぼ時を同じくする条約改正によって導かれたことに端を発する。西欧列強が東アジアに形成した「不平等条約」を支えていたところの属人的に本国の法制が居留地に滞在する西洋人に及ぶとする治外法権制度を逆手にとり、台湾全土に属人的な民事・刑事全般の基本法制度を敷いたことが、帝国法制の基本構造を決定することになった。つまり、現地での貿易を可能ならしめる生命と財産の保障を、この種の法制を現地に敷くことで責任を持って実行できるとしたことが、イギリス等に台湾での治外法権廃止を認めさせる契機となったのである。こうした列強の意向を常に考慮しながら植民地化を進めるという傾向は、朝鮮の保護国化と併合においても一貫していた。帝国法制の基本構造は、こうして導入された属人的な法制度を本土法の帝国大の属地的延長施行によって徐々に私法の家族法分野にのみ限定していくベクトルと、本土とは異なる委任立法の枠組みによって作られた「外地」でのみ均一な属地的法制によって属人法を解消しようとするベクトルとのせめぎ合いと理解することができる。 第二の特徴は、古典的な公法と私法という区分がゆらぎ、行政法、経済法、社会法という公法と私法の二つの性格を混在化させた法分野が増大する時期に日本帝国は形成されたため、私法分野が公法から独立した領域として確立されるよりは、帝国的膨張や現地社会の同化や開発という目的を支える社会形成の機能を背負った私法体系としての性格を当初から有しており、その分、内地とは異なる外地社会のコントロール技術としての行政法、経済法体系が外地法の中でも拡大したことを指摘できる。更に、そうした新しい法分野を支える社会形成の機能を戸籍や民法が担うようになったため、内地法との統合はますます困難となり、むしろ公式帝国を周辺へと膨張させる機能までも外地法は担うようになった。政治的な国際協調が破綻する一九三○年代以後、政治的なサブシステムとしての帝国は大きく性格を変え、自らを究極の規範とする地域形成へと向かうこととなるのであった。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)