1960年代後半の米国における人種意識の構築と「ブラック・パワー」運動
Project/Area Number |
13710223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤永 康政 山口大学, 人文学部, 講師 (20314784)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | アフリカン・アメリカン / 黒人 / 人種 / 人権 / ナショナリズム / アメリカ黒人 / 60年代 / 公民権運動 |
Research Abstract |
平成14年度には4月18日から20日までワシントンD・Cで開催された60年代の黒人組織の「同窓会」に参加、そのとき集めたオーラル・ヒストリー・インタビューをもとに6月の歴史学研究会の現代史部会「1968年と現代」で報告を行った。その同窓会では、9.11テロの直後に「テロリスト組織」からの「攻撃」を「事前に防ぐ」という目的で制定され、個人的自由やプライヴァシーの権利に対し大きな制限を課すことになった通称「愛国者法Patriot Act」が大きな話題になった。というのも、政府の国内における諜報活動によって、この研究の対象団体(ブラック・パンサー党、Black Panther Party)は壊滅されたのであり、かかる政府の活動は70年代の半ばに禁止されたのであるが、それがまた「復活」してしまったからである。そこで歴史学研究会現代史部会が14年度次大会で開催した「1968年と現代」という主題の報告会にて、ブラック・パンサー党の60年代における崩壊の過程と国家の問題、そして「愛国者法」に対する60年代活動家の現在の意見をとりまとめ報告をおこなった。その報告の内容は、『歴史学研究』増刊号(10月刊)で論文として稿を改め発表した。 またこのワシントンでのリサーチでは、"New Black Panther Party"と自称する青年団体が会場に現れ、60年代活動家に対し、70年代以後の黒人の運動の衰退の責を問うという事件が起きた。この模様は、60年代の運動と現代の運動の離節的性格を物語るものであると考えられる。そこで、現ハーヴァード大学アフリカン・アメリカン研究所教授で、クリントン政権のマイノリティ問題補佐官を務めた経歴をもつウィリアム・ジュリアス・ウィルソンWilliam Julius Wilson氏を基調講演者に迎えた、立命館大学主催京都アメリカ研究夏期セミナーにおいて、黒人の世代間格差という視点から人種意識を分析する目的で報告を行った。なおこの報告に対して、ウィルソン氏からは、New Black Pantherの存在などアメリカ人でも知っていないという厳しい指摘があった。そこで、立命館大学が企画した大会議事録が「紙幅の制限なし、全面改稿可」という編集方針だったことから、その後の電子メールを利用したリサーチはもとより、10月8日の『ニューヨーク・タイムス』が同団体のことを一面で取り上げるといった新展開を踏まえ、平成15年2月に、報告後の質疑応答を踏まえ、実際に行った報告内容を大きく敷衍するかたちで論文として発表した。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)