Project/Area Number |
13730027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
経済政策(含経済事情)
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
佐野 博之 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (60301016)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 課税競争 / ヤードスティック競争 / リヴァイアサン / 繰り返しゲーム / 協調的政策 / フォーク定理 / 財政的外部性 |
Research Abstract |
課税競争は、その結果として過少な地方公共サービスの供給という非効率な結果を招くことが知られている。その一方で、地方政府が利己的な目的を持つとき、特に税収ないしは裁量的な財政余剰の最大化を目指すリヴァイアサン政府であるとき、課税競争は税率の低下を通じて住民に好ましい結果をもたらすことも指摘されている。しかし、リヴァィァサン政府による非効率を改善するシステムとして有効なのは、課税競争のみではない。代表的なものとして、住民の地域間移動とヤードスティック競争をもたらす住民の投票行動がある。先行研究には、課税競争と地域間人口移動を同時に扱ったモデルは存在するが、課税競争とヤードスティック競争の両方が起こりうるシステムを扱ったモデルは、私の知る限り存在しない。 さらに、課税競争理論の多くは地方政府間の戦略的相互作用を基本において分析しているにもかかわらず、その相互関係は繰り返されることのない1期間のみのものとして扱われている。しかしながら、現実には、同じ政府同士の繰り返しの関係が税率などの政策決定に少なからず影響していると考えられる。 以上のような観点から、課税競争とヤードスティック競争の両方が起こりうる連邦型財政制度を多期間モデルの中で考察し、以下のような結果を得た。 ・地方政府が十分に近視眼的でないとき、他地方政府のパフォーマンスを基準にした住民の投票行動が、現政府に対してより厳しくなるほど、住民の厚生は低下する。 ・住民の投票行動が現政府に対してより厳しくなるほど、また、投票基準として他地方政府のパフォーマンスを重視するほど、地方政府間での税率の協調が起きやすく、住民の厚生は低下する。 ・全体として、ヤードスティック競争は課税競争の正の効果を減殺する傾向にある。
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