Research Abstract |
デジタル携帯電話の通信方式CDMA (Code Division Multiple Access)として利用されているスペクトラム拡散通信には,直接拡散方式と周波数ホッピング方式の2種類がある.直接拡散方式では,多数の利用者が同じ周波数帯を共有し,時間軸でも重なっている状態で混信のない通信を行うため,送信された信号が誤って解釈される誤りをできるだけ最小にするように,Optical Orthogonal Code (OOC)と呼ばれるコードが用いられる. 長さv,重みkの(0,1)-sequenceの集まりCが,次の条件を満たすときCをOptical Orthogonal Codeと言い,(v, k, λ_a,λ_c)-OOCと書く.任意のy=(y_0,y_1,...,y_<v-1>),z=(z_<0'>,z_1,...,z_<v-1>)∈Cに対して,(1)[auto-correlation property]、Σ_<0≦t≦v-1> y_t y_<t+i>≦λ_a,1≦i≦v-1を満たす. (2)[cross-correlation property]Σ_<0≦t≦v-1> y_t z_<t+i>≦λ_c,0≦i≦v-1を満たす. ただし,y, zの添え字はvで剰余をとるものとする.またλ_a=λ_c=λのとき(v, k,λ)-OOCと書き,できるだけ多くの符合語をもつOOCを最適であるとする. 本研究では,λ=2,3のOOCを有限射影空間上の曲線を用いて構成を行った.以下にその主な結果を示す. 補題1 Pを射影平面PG(2,q^2)の点であってPG(2,q)の点ではないものとする.Cを射影平面上のconicであって,かつ点Pを通る有限体GF(q)上のすべてのconicの集合とする.このときCの任意の2つのconicはPG(2,q)上において高々2点で交わり,その曲線の個数はq^3-q^2である. 定理2 符号語数がq^3-q^2+[(q^3-1)/(q^2-1)]であるような(q^3+q^2+q+1,q+1,2)-OOCが構成できる. また,qが偶数のときには,補題1の各conicにそのnucleusを追加した点集合を考えC'とするとき,計算機実験により次の結果が予想される. 予想 C'の任意の2つのconicはPG(2,q)上において高々3点で交わり,その曲線の個数はq^3-q^2である. 予想 符号語数がq^3-q^2であるような(q^3+q^2+q+1,q+2,2,3)-OOCが構成できる.
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