Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
平成14年度は13年度に試作した放射線検出用ダイヤモンド検出器の性能評価を行った.検出器は3.5mm×3.5mm×400μmのチップ状の単結晶型ダイヤモンドで,両面は電荷読み出しのためにTi-Pt-Auによるメタライズ処理が施されている.この両面に高電圧を加えた状態で,電荷を持つ放射線がこれを通過したときに生じる電子とホールを読み出すことで荷電放射線の信号が得られる.この検出器を組み込んだ回路系を製作し,検出器の性能を調べる実験を行った.先ずダイヤモンド試料に対して耐電圧試験を行った結果,試料の両面間の電圧が2500Vから3000Vに達した辺りで放電することが分かった.ダイヤモンドは10^<16>Ωcmの抵抗率を持っており,非常に高電圧を加えても殆ど電流は流れない筈であるが,今回の放電は再現性が認められたので,試料に微量に含まれる不純物等が種になって放電している可能性がある.これより上限を2500Vと設定し,ダイヤモンド検出器に加える電圧を変えながらβ線(^<90>Sr/^<90>Y,2.238MeV)を照射したときに得られる電気信号を,増幅器を通してパーソナルコンピュータに取り込んだ.さらに,プラスチックシンチレータと光電子増倍管を用いてダイヤモンド検出器を通り抜けたβ線を測定し,ダイヤモンド検出器との同時計測を行うことで,ダイヤモンド検出器の測定効率を調べた.その結果,先ず印加電圧を1000Vにした時点で,β線のダイヤモンド検出器の通過に伴う電気パルスが発生することの確認に成功した.その後徐々にダイヤモンド検出器への印加電圧を上げていき,2000Vの段階でノイズを10%許容する条件でβ線の信号を66%の効率で捉えることができ,2500Vでは74%の効率を得ることが出来た.今後はより質のよいダイヤモンドの製作により測定効率の向上を図ることが必要であるが,今回の試験によりダイヤモンドがHiggs粒子等の崩壊による放射線の飛跡検出器として十分使用できることが確かめられた.
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