Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
フラーレン分子,カーボンナノチューブの発見以降,ナノメターサイズの炭素系物質群に関する基礎物性の解明と工学的応用に関する研究が強い関心を集めている.ナノサイズの炭素系では,炭素原子骨格が作り出すパイ電子のネットワークトポロジーが電子物性に大きな影響を与えることが最近の研究から明らかになってきている.本研究では,ナノサイズ炭素系における電子輸送特性を理論的に解析することによって,特に炭素ネットワークトポロジーと電子物性との関係を明らかにし,新規ナノデバイスの理論的提案を行なうことを目指す. 平成14年度では,ナノサイズ炭素物質と超伝導接合系におけるジョセフソン効果及び直流ジョセフソン電流の振る舞いを解析した.本研究では,高い数値信頼性を得るために,再帰グリーン関数法に基づいて理論解析を行った.解析の結果,超伝導体で挟まれたナノグラファイト領域における炭素ネットワーク形状に依存して,ジョセフソン電流の振る舞いが大きく変化することがわかった.特に,ジグザグ型の端をもっグラファイトリボンを超伝導体で挟み込んだ場合には,コヒーレンス長とジョセフソン電流の接合長依存性がリボンの幅に依存することがわかった.これは、ジグザグ端をもつグラファイトリボンのエネルギー分散が,リボンの幅について,べき乗の関数になっていることが原因である。また、このような振る舞いは、通常のジョセフソン接合系では現れない特異な振る舞いであり、ナノサイズ炭素系に特有であることがわかった。今後はさらに,外部磁場への応答も含め,応用面での可能性を検討したい.
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