希土類化合物における超音波を用いた極低温,強磁場下での弾性特性の研究
Project/Area Number |
13740195
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
中西 良樹 岩手大学, 工学部・材料物性工学科, 助手 (70322964)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 充填型スクッテルダイト物質群 / 超音波物性 / 磁性 / 結晶場効果 / 基底状態 / 弾性定数 / 強相関系 / 四重極近藤効果 / スクッテルダイト化合物 / 層状Mn酸化物 / 結晶場基底状態 / 超音波 / 四重極モーメント / 巨大磁気抵抗 |
Research Abstract |
充填型スクッテルダイト物質群は一般式RT_4X_<12>(R : rare-earth, T : transition metal, X : pnictogen)で記述される三元合金である。この系は構成する3つの元素を変えることにより固体物性で大変興味深い物性が出現する。特にRのサイトに入る希土類(rare-earth)を変化させることにより超伝導、重い電子系、磁気秩序、金属-絶縁体転移といった基底状態が実現する。希土類の変化、つまり4f電子の数の変化によりこの基底状態の変化が現れることから希土類の4f電子状態を明らかにすることが大きな課題であった。特に希土類化合物の基底状態、つまり低温物性を明らかにするには4f電子状態に作用する結晶場効果による4f電子の結晶場基底状態を明らかにすることが大変重要である。この基底状態について4f電子の異方的な電荷分布に起因する四重極モーメントを通してその基底状態を明らかにする有力な実験手段が超音波を用いた弾性定数の測定である。今回の研究においてR-Fe_4P_<12>(R : La, Pr, Nd)、Pr_xLa_<1-x>Fe_4P_<12>(x=0.95,0.85)、R-Ru_4Sb_<12>(R : La, Ce, Pr)、R-Pu_4P_<12>(R : Pr, Sm)について超音波を用いた物質の弾性特性の研究を行った。今回の研究において明らかになった重要な点は充填型スクッテルダイト化合物のなかでもPr化合物において基底状態がΓ_3非クラマロス2重項を有していることである。このΓ_3非クラマロス2重項がこれまで報告されている4f電子1個がその物性で大きな役割を担うCeまたはYb化合物と異なって異色の近藤効果、重い電子系の機構を実現していること、およびΓ_3非クラマロス2重項の四重極モーメントがこの系において大変重要な役割を担っていることを初めて実験的に明らかにした。これは改めて超音波を用いた弾性定数の測定が希土類化合物の基底状態を明らかにする上で有力な唯一の手段であることをも実証した。またこの充填型スクッテルダイト化合物のPrサイトを非磁性Laで置換することによりPrサイトの周期的な格子効果の重要性とPrの単イオン効果の研究もPrFe_4P_<12>について行った。その結果、PrFe_4P_<12>でははっきりしなかったPrの結晶場基底状態とその第一励起状態についても明らかにすることが出来た。この研究を通じてこの物質群におけるPr化合物においてΓ_3非クラマロス2重項の重要性を強く支持する結果を得ることが出来た。さらにPrPu_4P_<12>、SmPu_4P_<12>で出現する金属絶縁体転移近傍での弾性特性と基底状態が有する四重極モーメントと金属絶縁体転移との関わりについても議論した。その結果、四重極モーメントは露に金属絶縁体転移には関与しておらずその起源が局在した4f電子によるものでなくフェルミ面等の伝導を担う電子が大きく関与していることを明らかにした。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)