Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Research Abstract |
平成14年度は,前年度の研究成果を踏まえ,以下の2つの点に力点をおいて研究を進めた. 1.中緯度の表層水温の加熱に及ぼす日射以外の海面フラックス成分の寄与について 日射以外の海面熱フラックス成分を評価し考察に加えることにより,正味の海面フラックスと海洋表層水温変動の関係をより詳細に調べた.その結果,いずれの海域でも,日射と水温変化率の間に存在した位相差が縮小する傾向が見られた.このことは,水温の加熱期においては日射が支配的な役割を果たすとは言え,日射の極大期には既に海面からの熱放出が増大しつつあり,その結果,表層水温の上昇が抑制される,負のフィードバックが機能していることを示唆する. 2.赤道太平洋の季節内スケール変動において日射が果たす役割について 熱帯域では,中緯度と較べて表層水温の季節変化は顕著でなく,むしろ季節内変動や経年変動が卓越する.このうち季節内時間スケールでは日射と相関の高い表層水温変動とそうでないものがあることが既に見出されていたので,本年度は,性質の異なるこれら2つのタイプの水温変動現象について,各々事例解析を行った.その結果,日射と相関のあるこの時間スケールの表層水温変動は赤道太平洋のなかでも西側領域で比較的多く,逆に中央部赤道太平洋では日射と無関係な水温の季節内変動が多いことが示された.これは,双方の経度帯における大気海洋間の結合の強度の違いを反映していると解釈される. 以上のように,時間・水平空間的に緻密な衛星観測資料の利用により,従来は十分に分解されていなかった,海洋表層水温の上昇過程における日射やその他の因子の働きを,より定量的に明らかにすることができた.
|