一般化されたスピン密度汎関数法の開発とノンコリニア分子磁性への応用
Project/Area Number |
13740330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山中 秀介 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10324865)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | ノンコリニア分子磁性 / 一般化されたスピン軌道 / スピン密度汎関数理論 / 三次元スピン構造 / スピン傾斜過程 / 金属多核クラスター / CAS-DFT / 自己相互作用補正 / スピン反転過程 / 酸化反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、一般化されたスピン軌道(GSO)に基づく密度汎関数理論(DFT)の開発と応用の両面から成る。GSO-DFTは、固体物理の分野では比較的古く(1980年代後半)から用いられており、γ-鉄やMn_3Sn等二次元スピン構造を持つヘリカルスピン系への適用がなされて来た。一方我々は、昨年度までに局所スピン密度近似(LSDA)、一般化された密度勾配近似(GGA)、自己相互作用補正といったDFTの各種近似をGSOに拡張すると共に、単純なモデル系の計算から、分子構造の対称性の高いT_dやO_hの点で三次元スピン構造が安定化され、又、酸素分子の解離過程に於いてもスピン傾斜を伴う事を指摘し、新たな応用領域を開拓してきた。 本年度も同様に、理論応用の両面でGSO-DFTを展開した。理論に関しては、現在分子系のDFT計算ではもっとも一般的に用いられている、B3LYP, B2LYPといった、Hartree-Fock理論とLSDA, GGAのいわゆるHybrid近似をGSOに拡張した。応用面では、光合成酸素発生サイトのモデル分子でもあるマンガン酸素四核に適用し、(i)三次元スピン構造が安定となる事、(ii)その安定性が架橋酸素アニオンの供給する遍歴電子による事、(iii)最安定解が一般化された磁性群の観点から見るとスピン軌道相互作用も含んだハミルトニアンに許容な構造を持つ事を指摘し、又、酸素の解離過程でヘリカルスピン状態があらわれる事もあわせその三次元スピン構造が含意する化学反応における機能性にふれた。さらに鉄と酸素(FeO)の結合についてもスピン傾斜が伴う基底状態のポテンシャルが存在する事を明らかにし、酸素やFeOの化学結合解離には軌道自由度を考慮した際にはスピンフラストレーション系となる領域が存在する事を指摘した。さらに現在、並列・グリッドコンピューテイングに適したGSO-DFTのプログラムの開発を行い、GSOベースのMD計算を目指している。 又、スピン対称性を満たした方法として、従来の第一原理分子軌道計算であるComplete-active-space config uration interaction (CAS-CI)とDFTを組み合わせたCAS-DFT法の新たなスキームや非整数占有数(FON)のDFTを開発し、ラジカル系の基底状態だけでなく、励起状態への適用も試みている。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)