化学反応に関わる媒質としてのタンパク質の超高速構成ダイナミクス
Project/Area Number |
13740340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水谷 泰久 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 助教授 (60270469)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 時間分解分光法 / 共鳴ラマン分光法 / ヘムタンパク質 / タンパク質ダイナミクス / ミオグロビン |
Research Abstract |
CO結合形ヘモグロビン(Hb)についてCO光解離による構造ダイナミクスを調べた。ヘム鉄とそれに結合したヒスチジンとの間の伸縮振動[v(Fe-His),約220cm^<-1>]バンドに注目した。ミオグロビン(Mb)の場合と同様に、このバンドについて時定数99ピコ秒で大きさ1.8cm^<-1>の振動数シフトと、10±5ピコ秒の時定数をもつバンド幅の増加が観測された。Mbの場合は、1ナノ秒でのv(Fe-His)振動数とデオキシ形のそれとはかなり近かったが、Hbの場合は9cm^<-1>の振動数の差がみられた。この差は、マイクロ秒の時間領域で起きる四次構造変化によるものである。また、1ナノ秒でのバンド幅はデオキシ形に比べやや狭かった。MbとHbの結果から、バンド形を精度よく測定することで不均一分布の変化を検出できることがわかった。 大腸菌より得た酸素ガスセンサータンパク質(E. coli DOS)のヘム近傍構造を、共鳴ラマン分光法を用いて明らかにした。還元形および酸化形ともにpH4-10で典型的な6配位低スピン型ヘムの共鳴ラマンスペクトルを示した。リガンド結合形ヘムを光励起しリガンドを光解離させると、典型的な5配位高スピン型ヘムの共鳴ラマンスペクトルが得られた。また、214cm^<-1>に鉄-ヒスチジン伸縮振動によるラマンバンドが観測された。解離後1ナノ秒のバンド強度は10ピコ秒のものとほとんど変わらなかったことから、リガンドの再結合は遅く解離形の寿命は10ナノ秒よりも長いということが明らかになった。また、95番のメチオニン残基をアラニン残基に置換した変異体(還元形)では5配位高スピン型ヘムによる共鳴ラマンスペクトルが得られた。これらの実験事実から、DOSの軸配位子はHis77とMet95であり、Met95が配位子として酸素分子と置き換わることによってDOSの活性化が起きることが示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)