Project/Area Number |
13740343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
立川 仁典 理化学研究所, 計算化学技術推進室, 基礎科学特別研究員 (00267410)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 多成分分子軌道法 / 配置間相互作用法 / 陽電子化合物 / 酸水和クラスター / プロトンダイナミクス / 重水素効果 / ミューオン / 経路積分分子動力学法 / GUGA / 混合基底関数 |
Research Abstract |
本申請課題は、電子だけでなく陽電子やプロトンといった、質量の軽い粒子の波動関数を同時に解く手法を開発し、具体的に応用していこうというものである。本年度は主に、昨年度開発した理論およびプログラムを用いて、陽電子化合物と水素結合系クラスターに関する具体的計算を実行した。 1.多体効果を考慮した多成分分子軌道法の開発: 多種粒子状態を精密に求めるためには、電子相関だけでなく電子・核相関といった、異なる粒子間での多体効果を評価する必要がある。本年度は、多成分分子軌道法に対して配置間相互作用法を応用することにより、このような多体効果を取り込むことを試みた。小さな分子用のプログラムを作成し、具体的に水素分子同位体に関して計算したところ、本手法は実験値を充分に再現することを見出した。以上の詳細を、Chem. Phys. Lett.誌に報告した。 2.陽電子化合物の具体的計算: 「中性分子に陽電子が付着されるか?」というテーマで、双極子モーメントの大きな分子に陽電子を付着させた計算を実行した。理論的には、1.625D以上の双極子モーメントを有する分子には、陽電子が付着されるはずであるが、平均場近似レベルでの分子軌道計算では、少なくとも3.0D以上の双極子モーメントが必要であるという計算結果を得た。この原因は、多体効果が充分に含まれていないためである。現在、多原子分子にも適用でき得る高精度な理論およびプログラムを開発中である。以上の詳細を、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B誌に報告した。 3.強酸水和クラスターの応用: ハロゲン化水素分子であるHClおよびHBrは強酸であるが、HFは弱酸であることが知られている。この原因を解明するために、昨年度開発した「多成分分子軌道法」を強酸水和クラスターに適用した。HClおよびHBr水クラスターでは、酸解離構造が安定構造であるのが見出されたが、HFでは酸解離の安定構造を見出すことができなかった。また、重水素化により解離しにくいという結論を得た。強酸水和クラスターに関する同位体効果の詳細を、Mol. Phys.誌に報告した。
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