β―ケトイミナトコバルト錯体を触媒とする不斉シクロプロパン化反応の理論・合成研究
Project/Area Number |
13740360
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池野 健人 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (50296753)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | Cobalt Complex / Cyclopropanation / Asymmetric Synthesis / Density Functional Theory / Single Bond / Time-resolved IR / Radical / Carbene Complex / Axial Ligand / Transition States / Aqueous Media |
Research Abstract |
研究者は、β-ケトイミナトコバルト錯体を触媒とする不斉シクロプロパン化反応の展開を目指し、平成14年度は反応機構の解析及び反応中間体のスペクトル解析に取り組んだ。 まず、反応中間体として考えられるカルベン錯体の時間分解IR解析を行なった。その結果、シクロプロパン化反応の触媒として有名な銅錯体やルテニウム錯体とジアゾ酢酸メチルとの反応により生成したカルベン錯体のエステルカルボニル基の伸縮振動は1650cm^<-1>付近に現れたのに対して、ケトイミナトコバルト(II),(III)錯体やSalen-コバルト(II),(III)錯体とジアゾ酢酸メチルから生成したコバルトカルベン錯体のカルポニル基の伸縮振動は1600cm_<-1>付近に現れ、約50cm^<-1>程低波数シフトしていることを見出した。 この低波数シフトの原因を明らかにするため、次に密度汎関数法を用いて解析を行なった。UB3LYP/6-31G(d)基底関数で検討したところ、理論的にもコバルトカルベン錯体が銅やルテニウム-カルベン錯体よりもエステル部位のカルボニル基の吸収が約50cm^<-1>程低波数シフトしていることが示された。さらに、Natural Bond Orbital法を用いて解析を行なったところ、銅-カルベン錯体やルテニウム-カルベン錯体においては銅-カルベン炭素結合やルテニウム-カルベン炭素結合は2重結合性を示すのに対して、コバルト-カルベン錯体のコバルト-カルベン炭素結合は単結合性であることが明らかとなった。これは、ジアゾ酢酸エステルとコバルト錯体が反応し、σ結合ができた後余った炭素p軌道の電子がコバルトのd軌道の電子とπ結合を作るのではなく、α位のカルボニル基に非局在化していることを示している。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)