Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本年度は配位子合成法の確立と,前年度得られた2種類の新規電子供与性多座配位子(H_4L4-X, H_3L5-X ; X=H, CH_3, Br)によるマンガン錯体の合成を行った。非対称型配位子H_3L5-Xとマンガンイオンとの反応から,非常に特徴的な架橋構造を有する三角錐型三核マンガン(III)錯体が生成することをX線結晶構造解析により明らかにした。この三核錯体は内部に3Å程の空孔を有しており,小分子を取り込んで反応場として活用することが可能と思われる。アンモニウムイオンの包摂効果を調べたところ,空孔中へ1:1で取り込みが行われることを元素分析や赤外吸収スペクトルから確認した。今後,この包摂効果を反応に利用することを検討し,アンモニア硝化や他の小分子の酸化反応への応用を研究する。一方,対称型配位子H_4L4-Xとマンガンイオンの反応からは,配位子とマンガンイオンの組成が1:1である多核マンガン(III)錯体が得られた。この組成から生成が推定される多核構造には,昨年報告した鎖状構造と環状六核構造が考えられるが,本錯体は鎖状銅(II)錯体に見られたような特徴的な電荷移動吸収帯を示さないこと,および前述の三核マンガン錯体の構造から判断すると,環状六核構造を有しているのではないかと考えられる。この場合,環サイズは外径20Å,内径10Å程度のナノサイズ分子になることが予想され,ナノ機械の構築素子としての利用や,マンガンイオンのレドックスを利用した反応場の活用など多様な展開が期待される。
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