Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
雌雄異株植物ヒロハノマンテマにクロボ菌Ustilago violaceaを感染させることで、擬似雄蕊を誘導させて形態学的観察を行った.走査型電子顕微鏡を用いて詳細に観察した結果、形態学的変化から性分化が開始する特定領域を決定した.この形態学的変化の報告を論文としてまとめ欧米学術雑誌Plantaに投稿した。クロボ菌により擬似雄蕊が雄花および雌花双方に形成されることが判明した。クロボ菌に感染したヒロハノマンテマの葯にはクロボ胞子が形成される.興味深いことに,クロボ菌の感染によって、雄性決定因子がなく雄蕊が未発達な雌花(XX)にも雄蕊が誘導される.本研究では,発芽後10日目の茎頂分裂組織にクロボ菌を感染させ、湿度100%,16度,長日条件でヒロハノマンテマを栽培した.栄養生長期に形態的変化はなかったが,花成は通常より約1ヶ月遅れて感染後3ヶ月目に開始した.花序の数と位置に変化はなかった.花の外部形態を低真空SEMと実体顕微鏡を用いて比較した.感染個体の花の基部は丈夫で花持ちがよく,偏平な葯室と太い花糸が発達し,クロボ胞子を長く保持していた.花原器の内部構造の変化とクロボ菌の局在の関係を調べるために,テクノビット切片を微分干渉顕微鏡法と蛍光染色法で観察した.未発達な非感染雌花の雄蕊原器では,胞原細胞は分化するが花粉母細胞には発達せず,葯の側壁細胞が分化しない.感染雌花では,雄花と同様に,側壁細胞から内被・中間層・タペート組織が分化した.花の初期原器で均一に分布していたクロボ菌は、胞原細胞の間隙で数を増し,胞子形成を開始した.その際,胞原細胞は花粉母細胞に分化せず,タペート組織も未成熟のまま退化した.一方,表皮・内被・中間層は形態的に正常に発達し,花糸が伸張し,花粉の代わりにクロボ菌の胞子を内包した雄蕊が発達した.
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